もしも米Apple(アップル)がクルマをつくったら─。電話を“再定義”した同社への期待感は高まる。変革期を迎える自動車業界には、アップルだけでなくソニーや中国IT勢など、多くのプレーヤーが参入してきそうだ。自動車業界の変化、そしてその象徴である「アップルカー」とは。識者の声から一端が見えてきた。
Appleを筆頭に多くの新規参入者が自動車業界に押し寄せるのは、それなりの理由や背景があるはずだ。2025年ごろの登場が噂されるアップルカーを巡る動きを整理するなかで、4つの疑問が浮上した(図1)。
第1の疑問は、「自動車業界にはどのような変化が起こっているのか?」だ。電気自動車(EV)へのシフトや、クルマのソフトウエアを無線通信で遠隔更新する「OTA(Over The Air)」のインパクトとは。
第2の疑問は、「Appleが提供するクルマの新しい体験とは何か?」。ソフトや新しい車内体験などによって、自動車をどう再定義するのだろうか。第3は、「他の新規参入組とAppleの違いはどこにあるのか?」である。よく比較される米Tesla(テスラ)や、自動運転EVの試作車を発表して注目を集めるソニーなどとの違いをひも解く。第4は、「コモディティー(汎用品)化が進むEV市場でどう生き残るか?」である。モーターや電池など部品での差異化が難しくなるなかで、存在感を発揮できるのかが問われている。
これら4つの疑問を部品メーカーのトップや専門家など18人にぶつけ、自動車業界が進む方向性を探った。
(久米秀尚、清水直茂、日本経済新聞社=星 正道、押切智義、清水孝輔、岡田江美)