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三菱電機は、MaaS(Mobility as a Service)向け自動運転車両の運行管理システムを開発した。同車両の運行ダイヤや走行ルートを、利用者の乗車申込状況に応じてリアルタイムで柔軟に変更できるのが特徴である。運行管理業務の省力化や、利用者の利便性向上を目指す。車両にスタッフが乗らなくても済む「無人化」技術を確立するのが最終的な目標である。

写真:三菱電機
写真:三菱電機
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 MaaS向け自動運転車両の運行には、多くの人手がかかる。例えば、同車両には運転者や保安員が乗る必要がある。現在運用されている自動運転バスでは、運行コストの多くを人件費が占める。三菱電機社会スマートインフラ事業開発室で主管技師長を務める小林弘幸氏は、「人件費の高さがMaaS向け自動運転車の事業化の課題になっている」と言う。

 車両の運行を管理する管制センターにも、多くの人手がかかる。事業化を見据えると、できるだけ多くの車両を1人のスタッフで管理できるようにする必要がある。三菱電機社会スマートインフラ事業開発室で担当課長を務める堅田康平氏は、「なるべく人手を介さずに、リアルタイムで管理できるシステムが求められている」と話す。

4つのシナリオで実証実験

 開発したシステムの実用性を確かめるため三菱電機は、神戸製作所(神戸市)の構内で2021年3月に実証実験を行った。同構内に全長1.5kmの走行ルートを設け、停留所を6カ所設置した。約20分で走行ルートをひと回りする。三菱電機の従業員約15人が、利用者として参加した(図1)。

図1 運行管理システムの実証実験の様子
図1 運行管理システムの実証実験の様子
神戸製作所の構内に全長1.5kmの走行ルートを設け、停留所を6カ所設置して行った。(写真:三菱電機)
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 実証実験では、路線バスのように一定の路線を定時運行する交通サービスへの適用を前提に、(1)通常運行(2)通過(スルー)走行(3)迂回・近道走行(4)増便・減便運行という4つのシナリオを使った。リゾート施設や公園など私有地での利用も想定する()。

表 実証実験で用いた4つのシナリオ
一定の路線を定時運行する交通サービスへの適用を前提にして設定した。三菱電機の資料を基に日経Automotiveが作成。
表 実証実験で用いた4つのシナリオ
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