オープンソースの命令セットアーキテクチャーである「RISC-V(リスクファイブ)」は、特定企業のライセンスに縛られずに自由にCPUコアを作れる点が魅力である。2020年に米NVIDIA(エヌビディア)が英Arm(アーム)の買収計画を発表すると、車載半導体の分野でRISC-Vの導入を検討する動きが加速した。その後、エヌビディアによるアームの買収計画は頓挫したが、デンソー子会社によるとRISC-Vの重要性は今も高まっているという。
「米NVIDIA(エヌビディア)による英Arm(アーム)の買収が頓挫した今も、RISC-V(リスクファイブ)の重要性は変わらない」。デンソー子会社でRISC-V製品を手掛けるエヌエスアイテクス(NSITEXE)取締役兼CTO(最高技術責任者)の杉本英樹氏はこう指摘する(図1)。
RISC-Vはオープンソースの命令セットアーキテクチャーで、アームなどの特定企業に依存せずに、自由にCPUコアを作れる。2020年にエヌビディアがアームの買収計画を発表した時、多くの半導体メーカーはアームの中立性が失われ、不利なライセンス条件を強いられる可能性を懸念した。そこで“脱アーム”の有力候補としてRISC-Vに注目が集まった。
その後、アームの買収計画は頓挫したが、杉本氏によるとRISC-Vは主に2つの理由から引き続き重要だという。(1)自動運転やSDV(Software Defined Vehicle)といった用途にRISC-Vが適している可能性があること、(2)BCP(事業継続計画)の観点から特定企業に依存しない技術が重要になっていること、である。