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EV専用PF適用車は26年から

 ホンダが独自開発を進めるEV専用PF「Honda e:Architecture(以下、e:アーキテクチャー)」を適用した車両は26年から投入する。青山氏によると、e:アーキテクチャーは北米と中国向けの大型EVに適用する。GMと共同開発中のアルティウムPFは、中小型EV向けとなる。日本やアジアでは、e:アーキテクチャーを小型EV(軽EVを含む)にも適用する。さらに、ホンダは前述したように、中国向けPFの「e:Nアーキテクチャー」も開発している。このように同社は、30年までは複数のPFを車種や市場ごとに使い分ける計画だが、「30年以降はPFを小型・中型・大型の3つに集約し、すべてのEVを造れるようにする」と三部氏は明かす。

 またe:アーキテクチャーでは、OTA(Over The Air)に対応させる計画である。三部氏は、「OTAによるソフトウエア更新によって、購入後にクルマの性能を高めるサービスを事業として育てたい」と力を込める(図7)。

図7 EV専用PF「e:アーキテクチャー」
図7 EV専用PF「e:アーキテクチャー」
EV専用PFでは、ハードウエアとソフトウエアのPFを組み合わせる。OTAによるソフト更新にも対応させる。(画像:ホンダ)
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容量160GWhの電池確保が必要

 年産200万台超のEV生産を可能にするには、生産能力の強化に加えて、電池の安定調達が鍵を握る。三部氏は「1年に200万台超のEVを造るには、容量160GWh分の電池を確保する必要がある」と話す。

 電池の安定調達に向けて20年代後半までは、液系のリチウムイオン電池に関する外部企業との連携を強化する。北米ではGMからアルティウム電池を調達。電池生産を行う合弁会社を、GM以外の電池メーカーと設立することも検討している。中国ではCATLとの連携をさらに強化し、日本では軽EV向けの電池を中国系のエンビジョンAESCグループ(神奈川県座間市)から調達する。

 20年代後半以降は、「次世代電池」の独自開発を加速させる(図8)。全固体電池については「手の内化」を目指し、栃木県さくら市内に実証ラインを建設することを決めた。24年春の立ち上げに向けて約430億円を投資し、20年代後半に投入するEVへの搭載を目指す。

図8 全固体電池の実証ラインを建設
図8 全固体電池の実証ラインを建設
ラボレベルでの検証の様子。左上は開発中の全固体電池。(ホンダの資料を基に日経Automotiveが作成)
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新規投資を支える既存事業の盤石化

 ホンダは30年度までの10年間で、研究開発に約8兆円を投じる計画だ。そのうち約3.5兆円が電動化関連となる。また、電動化と車載ソフトウエア関連で約5兆円を投資する計画であり、内訳は約3.5兆円が研究開発投資、約1.5兆円がその他の投資となる。これらの新規投資を続けるために同社は、既存事業の収益基盤の強化(既存事業の盤石化)の取り組みを進めてきた。

 新型コロナウイルス禍や車載半導体を含む部品不足、ロシアによるウクライナ侵攻といった不安定な事業環境にあるが、「中長期の目標として掲げる7%の売上高営業利益率は十分に達成できる」と、財務を担当する副社長の竹内弘平氏は自信を見せる。直近のネットキャッシュ残高は1.9兆円を確保しており、健全な水準にあるという。