JFEスチールは、車載モーターのコア(鉄心)向け純鉄粉を開発した。電磁鋼板では対応が難しい小型で複雑形状の鉄心を造れる。同社は主に、電気自動車(EV)などの電動車両の補機モーターへの採用を目指す。現行の電動車両で使う補機モーターは駆動用の主機モーターと同様に、鉄心には主に電磁鋼板が使われている。ただ、電動車両の補機モーターは今後、より小型化・高周波化が進む可能性が大きい。JFEスチールの純鉄粉「電磁郎」は、こうした補機モーターなどの鉄心材料に向く。「アキシャルギャップ型」という新構造モーターの実用化に追い風となる可能性がある。
2050年のカーボンニュートラル(炭素中立)実現に向けて、世界で電動車両の投入が加速している。例えば日本メーカーでは、トヨタ自動車が2021年12月に、EVの世界販売目標を2030年に350万台とする新たな戦略を発表した。「EVと燃料電池車(FCV)の合計で2030年に200万台」という従来計画から大きく上方修正した。
具体的には、2030年までに「レクサス」ブランドを含む30車種のEVを世界で販売し、EVのフルラインアップを実現する計画である。EVだけでなく、「ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、FCVにも本気で取り組んでいる」と、同社社長の豊田章男氏は力を込める(図1)。
ホンダは2040年に、世界市場で販売するすべての車両を電動車両にする計画を打ち出している。ここでいう電動車両とはEVとFCVである。日産自動車もフランスRenault(ルノー)と三菱自動車との日仏3社連合(アライアンス)全体で、2030年までに35車種のEVを世界市場に投入する計画だ。