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ホンダと日産自動車が、ハイブリッド車(HEV)専用エンジンを新開発した。環境規制を背景にパワートレーンの電動化が進む中、電気自動車(EV)と共に販売台数を伸ばしているのがHEVだ。ホンダと日産は、新開発の専用エンジンを強みに、世界的なHEV需要の増加に対応する。

写真:日経Automotive
写真:日経Automotive
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 各国で燃費規制が厳しくなっている。例えば、欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会(EC)は、2030年に新車の二酸化炭素(CO2)排出量を、2021年比で55%削減する規制を発表している。中国は2035年をめどに、新車販売の全てを環境対応車とする方針だ。環境対応車のうち50%をハイブリッド車(HEV)と定めている。

 このような燃費規制を背景に、パワートレーンの電動化が進む中で、HEVの販売台数が世界で増加傾向にある。

 欧州自動車工業会(ACEA)によると2021年、欧州主要国におけるHEVの登録台数は2020年比で60.5%増加した。HEVの販売台数(190万1239台)がディーゼル車(190万1191台)を上回るのは初めてだという。北米市場でも、HEVの販売台数は伸びている。

 2035年にかけて、HEVは今後も伸びる予想だ。富士経済(東京・中央)が2022年8月に発表した予測によると、HEVの世界販売台数は2035年に2021年比で約4倍に増加する見通しである()。北米や中国、ASEAN諸国を中心にHEVの販売が、引き続き増えるという。

表 富士経済が発表した2035年におけるHEVの販売台数の予測
日本と中国は全体の内数。(出所:富士経済)
表 富士経済が発表した2035年におけるHEVの販売台数の予測
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 これらのHEVの需要増加を踏まえて、ホンダと日産は、HEV専用エンジンを新たに開発した。ホンダ社長の三部敏宏氏は2022年4月に、同社が開いた四輪電動ビジネス説明会で「今後もHEVは我々の武器になる」と語った(図1)。その上で、「HEVの開発を進めていく」(三部氏)とした。

図1 ホンダ社長の三部敏宏氏
図1 ホンダ社長の三部敏宏氏
今後もHEVの開発を進めることを明かした。(出所:オンライン発表会の画面を日経Automotiveがキャプチャー)
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 日産も2021年11月に、EVと同社のシリーズハイブリッド機構「e-POWER」の搭載車を合わせて20車種を2026年度までに投入することを表明している(図2)。

図2 電動車の拡充を発表する日産最高執行責任者(COO)のアシュワニ・グプタ氏
図2 電動車の拡充を発表する日産最高執行責任者(COO)のアシュワニ・グプタ氏
EVと共にe-POWER搭載車を増やしていく。(出所:オンライン発表会の画面を日経Automotiveがキャプチャー)
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