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日米欧中の工場で、リサイクル材を使った車載電池を量産へ─。本格的な検討を進めているのが、車載電池大手のエンビジョンAESCグループ(神奈川県座間市)である。2024年ごろから段階的に生産を始める。パナソニックエナジーもリサイクル材を使った電池の量産を予定。エネルギー密度向上とコスト低減を追求してきた車載電池に、新たな競争軸が生まれつつある。

写真:BMW
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 「リサイクルしやすい電池の開発を重視していく」。潮目の変化を語るのは、エンビジョンAESCグループ副社長でCTO(最高技術責任者)の明石寛之氏だ。規制対応や資源の確保、廃電池問題などの観点から、「電池のリサイクルは避けて通れない」(同氏)状況になってきたという。

 電池メーカー各社は長年、エネルギー密度向上とコスト低減にまい進してきた。これらに加えて今後は、リサイクル技術が競争力を左右することになりそうだ。エンビジョンAESCグループは電池の年間生産能力を2026年に300GWhにする計画(図1)。2022年比で15倍だ。日米欧中で新工場の建設を進めており、これらの拠点に「電池をリサイクルするプロセスを導入していく」(明石氏)。

図1 4年間で電池生産能力を15倍に
図1 4年間で電池生産能力を15倍に
世界各地に建設する新工場に、リサイクルのプロセスを導入していく計画である。(出所:エンビジョンAESCグループへの取材を基に日経Automotiveが作成)
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