全6749文字
PR

トヨタ自動車が街造りに乗り出し、ソニーが電気自動車(EV)市場に参入する─。2020年1月の「CES 2020」では、自動車業界の常識を覆す新たな動きが相次いだ。クルマも家電も、既存の事業領域に閉じていては生き残れない。次世代のモビリティーサービスを通じて社会課題を解決し、さまざまなデータを駆使して付加価値を生み出す。その闘いが本格化している。

 「富士山の見える場所で、新たな種類の都市を生み出す」─。トヨタ自動車社長の豊田章男氏は、静岡県裾野市に実証都市「コネクティッド・シティ」を建設すると宣言した(図1)。同氏が「CES」の舞台に立つのは2年ぶりだ。前回(CES 2018)は、自動車を製造・販売するメーカーを脱却し、世界中の人々の移動に関わるあらゆるサービスを提供する「モビリティーカンパニーになる」(同氏)と述べて話題になった。今回の実証都市の建設計画も、モビリティーカンパニーへの転換に向けた一手と位置付ける。

図1 トヨタがコネクティッド・シティを建設
図1 トヨタがコネクティッド・シティを建設
左がトヨタ社長の豊田章男氏。右は都市設計を担当するビャルケ・インゲルス・グループ(BIG)CEO(最高経営責任者)のビャルケ・インゲルス氏。(撮影:日経Automotive)
[画像のクリックで拡大表示]

 「ライバルは自動車メーカーだけではない。米グーグル(Google)や同アップル(Apple)、同フェイスブック(Facebook)といったIT企業まで想定している」─。豊田氏がCES 2018でこう述べたように、今回のコネクティッド・シティの開発はGoogleとの真っ向勝負になりそうだ。さらに、米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com)、同ウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)、住宅・不動産事業者なども取り組みを急ぐ。

 Googleの親会社である米アルファベット(Alphabet)は2015年にサイドウォーク(Sidewalk Labs)という会社を設立し、街プラットフォームの構築を一足先に進めている。移動サービスだけでなく、エネルギーや建築、ごみ処理、健康管理までを含めた都市の基本サービスを提供する街造りをもくろむ。2020年にはカナダ・トロントで本格的な開発に着手する予定だ。

 トヨタが「Woven City(ウーブン・シティ)」と名付けた実証都市の建設に着手するのは2021年初頭から。2020年末に閉鎖予定のトヨタ自動車東日本の東富士工場(静岡県裾野市)の跡地を使う。将来的に175エーカー(約70.8万m2)規模の街を造る。完成初期は、トヨタの従業員やプロジェクトの関係者を中心に2000人程度の住民が暮らすことを想定している(図23)。

図2 トヨタの実証都市「Woven City」のイメージ
図2 トヨタの実証都市「Woven City」のイメージ
2020年末に閉鎖予定のトヨタ自動車東日本の東富士工場(静岡県裾野市)の跡地に建設する。(出所:トヨタ自動車)
[画像のクリックで拡大表示]
図3 Woven Cityの都市イメージ
図3 Woven Cityの都市イメージ
トヨタの自動運転車「e-Palette」を走らせる計画。(出所:トヨタ自動車)
[画像のクリックで拡大表示]