【電子部品】
STマイクロ、デジタルキー向けNFCリーダーICを発売
自動車のサブスクリプションサービスが容易に
伊仏合弁STMicroelectronics(STマイクロ)は、自動車用デジタルキーに向けたNFC(近距離無線通信)リーダーIC「ST25R3920」を発売した。自動車用デジタルキーを使えば、スマートフォンなどを使って自動車の施錠や開錠が可能になるほか、友人や駐車場の係員に使用権限を与えることができるようになる。また、自動車のサブスクリプションサービスの実現が容易になるという。スマートフォンと自動車を連携させる通信技術の推進団体「Car Connectivity Consortium」が定めた「Digital Key Release 2.0」規格に準拠する。さらに、車載用半導体ICの品質規格「AEC-Q100」に準拠するほか、NFC Forumの認証を取得している。
NFCレシーバー回路のほか、NFCトランスミッター回路、A-D変換器、電圧レギュレーター回路、水晶発振回路、デジタル制御ロジック回路、RAM、FIFOメモリーなどを1チップに集積した。「ダイナミックパワー出力(Dynamic Power Output)」と呼ぶ機能を搭載したため、RF出力パワーは連続時に最大1.6W、ピーク時に最大2.5Wが得られる。このため「小型のアンテナを使っても、長距離かつ高信頼性のNFC通信を実現できる」(同社)という。(山下勝己)
【自動運転】
アマゾン、新興企業のズークスを買収
自動運転で配送の効率化が狙いか
米Amazon.com(アマゾン・ドット・コム)は、自動運転技術を手掛ける米Zoox(ズークス)を買収した。2020年6月26日(現地時間)に発表した。ズークスは自動運転技術による配車サービスを目指しているが、アマゾンは同技術によって配送を効率化する狙いがあるようだ。
買収額は公表されていない。英Financial Times(フィナンシャル・タイムズ)によると、12億米ドル(1284億円、1米ドル=107円換算)を超えるとしている。かねてからアマゾンがズークスと買収について交渉中だと報じられてきた。それが実現したかたちである。
ズークスは2014年に創業したサンフランシスコの新興企業である。米国の「Crunchbase」の情報によると、総額で既に9億5500万米ドル(約1022億円、同)の出資を集めたという。
ズークスは米カリフォルニア州サンフランシスコやネバダ州ラスベガスで公道試験を実施している。試験車両は、トヨタ自動車「ハイランダー」をベースに自動運転機能を加えた。
カリフォルニア州の車両管理局が2020年2月末に公表した、公道試験結果をまとめた報告書を見ると、同社は比較的優れた成績を収めている。 (根津 禎)