【電子部品】
米Solid Power、330Wh/kgの全固体電池をサンプル出荷
急速充電に課題、高い放電レートで放電容量が低下
米Solid Powerは、重量エネルギー密度が330Wh/kgの全固体電池のパウチ型セルを開発し、評価用にサンプル出荷を始めた。セルの容量は20Ahで、正極/電解質/負極の層22層からなる。
同社は20年10月に容量が2Ah、層数が10層で重量エネルギー密度が320Wh/kgの全固体電池の試作を始め、21年に製品化、26年には車載用電池として出荷する計画を発表していた。今回は大容量化と重量エネルギー密度の若干の向上を果たした格好だ。想定利用温度は室温~70度だとする。
同社は今後、重量エネルギー密度を400Wh/kgにまで高める方針。また、2022年初めには正式な車載用途向けの性能評価プロセスを始める計画だ。
Solid Powerの全固体電池は固体電解質に硫化物系材料、負極に金属リチウム(Li)を用いる。デンドライト対策の詳細は明かしていないが、公開された充放電サイクル時のデータでは、充電や放電がそれぞれ20時間というゆっくりした充放電であれば250サイクルまでは大きな問題がないことを示した。一方、速い充放電にはやや課題があり、容量2Ahのセルにおいて29度で放電レートを次第に高めると放電容量が大きく低下し、1Cで遅い放電時の数%まで下がる。(野澤哲生)