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【EV】
BMWグループ、EV生産拡大に向け南米でリチウムを調達
持続可能な抽出方法、塩水の蒸発なしで環境に配慮

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 ドイツBMW Group(BMWグループ)は、米Livent(リベント)からリチウムを調達する契約を交わしたと発表した。複数年契約の総額は約2億8500万ユーロになる。BMWグループは2030年までにグローバル売上高の少なくとも半分は電気自動車(EV)になると予想している。EV需要の拡大に向け、今回の契約により電池セルの主要原料であるリチウムを確保する。

 BMWグループは、2019年にオーストラリアの鉱床からリチウムを調達する契約を締結している。同グループにとって2番目の調達先となったLiventはアルゼンチンでリチウムを調達し、2022年から同グループの電池セルメーカーにリチウムを直接供給する。

 Liventは、アルゼンチン、ボリビア、チリの国境地域にある塩湖からリチウムを採取する。この塩湖には世界のリチウム埋蔵量の半分があるとされる。従来のリチウム採掘では、塩湖の下層から塩水をくみ出し、蒸発させていた。Liventは、周囲の生態系への影響を最小限に抑えるため、持続可能なリチウム抽出方法を開発した。この方法では、使用した塩水のほとんどを湖に戻し、抽出工程で使われる溶剤やそのほかの化学薬品は、周辺環境に排出することはないという。(櫛谷 さえ子)