【経営】
トヨタ、世界生産計画を下方修正で月産80万台に
生産調整、4~6月は「意志ある踊り場に」
トヨタ自動車は2022年3月、22年度第1四半期(4~6月)の世界生産計画を下方修正したと発表した。車載半導体を含む部品供給不足によって直前の生産計画の変更が度重なり、仕入先を含めた生産現場に大きな負担がかかっていることを受けたもの。足元の生産計画を現実的なものに見直した。
具体的には、22年4月の世界生産台数は75万台程度を見込む。内訳は国内が約25万台、海外が約50万台だ。これまでの減産を補う「挽回生産分」を含まず、グローバルの減産台数は約15万台となる。また22年度第1四半期の世界生産台数も、月平均で80万台程度に抑える計画だ。ただ累計では、前年同期比で約6%の増加となる。
トヨタは、「特に22年4~6月は『意志ある踊り場』として、仕入先の人員体制や設備能力なども勘案して計画を立案した。減産リスクなどを織り込んだ計画を3カ月先まで仕入先に伝え、毎月3カ月単位で生産計画を見直し、仕入先と共有する」(同社)と説明する。
ただ、半導体不足や新型コロナウイルス感染症などの影響が続き、数カ月先の状況を見通すことは難しい。「急減産の幅をできるだけ縮小し、生産計画の正常化と仕入先の負担軽減に最大限努めていく」とした。(高田 隆)
【セキュリティー】
デンソー、再びランサムウエア被害
今回は設計・開発を担うドイツ法人が標的に
2021年末にランサムウエア(身代金要求型ウイルス)攻撃に見舞われたデンソーが、再び被害に遭ったことが判明した。今回は自動車部品の設計・開発を担当するドイツ法人が被害を受けた。同社は21年末にメキシコの工場が被害に遭ったばかり。ランサムウエアの犯罪者集団から繰り返し標的にされている実態が浮き彫りになった。
Pandora(パンドラ)と名乗る犯罪者集団が2022年3月13日、デンソーを攻撃したと闇サイトで宣言した。1.4Tテラバイトとみられるデータを盗んだとしたうえで、一部のデータを暴露した。セキュリティー専門家によると、暴露したデータには取引先の情報などが含まれるという。Pandoraはほかにも、台湾系の半導体製造企業の日本法人なども攻撃したと主張する。
デンソーは3月10日にドイツ法人のランサムウエア感染を確認した。被害の詳細は確認中だが、被害に遭ったドイツ法人は「設計開発を担当する拠点で部品の生産に影響はない」という。
小島プレス工業も2月にランサムウエアの被害に遭ったとみられている。サイバーセキュリティー企業S&Jの三輪信雄社長は「2月下旬から日本企業の被害が急増している」と指摘し、強く警戒を呼びかけた。(島津忠承)