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【環境】
自工会、新体制で取り組む重点テーマを説明
エネルギー使う自動車だけ悪者扱い「勘弁して」

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 日本自動車工業会(自工会)は、新たな役員体制が正式に発足したことを受け、新体制で取り組む重点テーマについて改めて説明した。

 現在、自動車業界は新型コロナウイルス感染症や半導体不足、自然災害の影響、ロシアによるウクライナ侵攻、資源価格の高騰といった課題に直面している。自工会会長の豊田章男氏(トヨタ自動車社長)は「こうしたリスクのあるときこそ、未来に向けた変革を止めない強い意志が必要」と訴えた。

 変革の中でも最大のテーマが、カーボンニュートラルの実現だ。自工会ではこれまでカーボンニュートラルを正しく理解することの重要性を訴えてきた。カーボンニュートラル燃料を含む幅広い技術開発が重要とし、会員各社の得意分野に応じてさまざまなタスクフォースを立ち上げ、カーボンニュートラルに向け多面的な活動を進める。

 カーボンニュートラルはエネルギー政策とセットで議論する必要があることも改めて強調した。「カーボンニュートラルはエネルギーを作る、運ぶ、使う、のすべての分野で達成するもの。エネルギーを使う側(自動車)ばかり規制しても解決しない。自動車だけを悪者扱いするようなことは勘弁していただきたい」(同氏)。(木村雅秀)

【経営】
IHI、ロシア事業はルノー次第も「継続は難しい」
21年度実績は純利益が660億円で過去最高

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 IHI代表取締役社長最高経営責任者の井手博氏は、2022年5月に開催した同社の21年度決算説明会で、ウクライナ危機の影響について言及した。ロシアでの事業の継続について、「判断するには時期が早い」としながら、「基本的には継続は難しいとみている」(同氏)との見方を示した。

 同社の子会社であるロシアALPHA Automotive Technologies(AAT)は、プレス加工による自動車部品の生産を手掛け、製品を主にフランスRenault(ルノー)のロシア拠点に納めていた。

 ルノーは同年3月にロシア事業の一時停止を発表し、これに伴いAATも生産停止を余儀なくされた。ルノーの事業再開のめどが立たないことを考慮し、IHIは同年4月25日、AATの固定資産において減損損失を47億円計上したと発表している。今後の業績への影響についても、「判断には時間がかかる。ルノーの動きに注目しなければならない」(同氏)とした。

 一方、IHIの21年度実績は新型コロナウイルス感染症の影響からの市況回復に加え、ライフサイクルビジネスへのリソース集中など、収益基盤強化の取り組みが成果を上げ、前期比増収増益となった。純利益は660億円で過去最高と好調だった。(石橋拓馬)