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【カーボンニュートラル】
トヨタ、タイの財閥と炭素中立を目指して協業検討
水素を「つくる」「はこぶ」「つかう」分野で

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 トヨタ自動車は、タイの財閥Charoen Pokphand Group(チャルーン・ポーカパン・グループ=CPグループ)とカーボンニュートラルの実現を目指して、各種の協業を検討すると発表した。水素エネルギーを「つくる」「はこぶ」「つかう」の3領域で社会実装し、CO2削減を進めていく。

 「つくる」では家畜の糞尿から生じるバイオガスを活用して水素を製造する。これは経済特区での実施を検討している。「はこぶ」では、製造した水素を活用するため、配送トラックを燃料電池車(FCV)化する。走行距離や積載量などに応じて、電気自動車(EV)やFCVなど、様々なソリューションを提供する。「つかう」では、コネクテッド機能を活用して最適配送ルートを提案するなど物流を効率化する。

 CPグループは小売り、流通、工業、農畜産業など様々な事業を展開している。今回の協業検討にはCPの交通サービス事業を手掛けるTrue Leasing(トゥルーリーシング)社も参画する。また、トヨタやいすゞ自動車、スズキ、ダイハツが出資して設立した企業であるCommercial Japan Partnership Technologies(CJPT)のアジアでの取り組みに、日野自動車が参画することも表明された。(櫛谷さえ子)

【電力網】
トヨタ、米国でのEV普及目指し送配電会社とV2G実験
まずは研究用マイクログリッドで試験

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 トヨタ自動車は、北米統括会社のToyota Motor North America(TMNA)が米国の送配電会社Oncor(オンコー)と、V2G(Vehicle-to-Grid)に関する実証実験で協力すると発表した。V2Gは、時間帯で変化する電力需給の安定化を図るため、電気自動車(EV)の電池から電力網に電気を戻すことを可能にする技術。このプロジェクトはトヨタのEV充電ソリューションチームが主導し、実証実験の結果次第で、両社は米国でより広範なEV充電エコシステムの構築を目指す。

 両社はまず、ダラス南部にあるシステム運用サービス施設(SOSF)で、オンコーの研究・試験用マイクログリッドを使用した研究プロジェクトを進めることで合意している。SOSFのマイクログリッドは、4つのマイクログリッドを相互接続したもの。個々に制御するだけでなく、並列や直列接続、または1つに統合して大規模システムとしても運用可能である。マイクログリッドとそのサブシステムには、試験・評価用にV2G充電器、ソーラーパネル、蓄電池も含まれている。

 2023年の第2段階では、オンコーのサービスエリア内にある家庭や企業での相互接続や、EVを使ったV2Gの試験を実施する。(櫛谷さえ子)