全2918文字
PR

 トヨタ自動車の燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」の分解レポートの第2回は、高度運転支援技術「Advanced Drive(アドバンストドライブ)」(以下、AD)向けのECU(電子制御ユニット)を調査した。ソフトウエアの更新による性能向上を実現するため、ミライはOTAに対応したECUを4個採用している。すべて車両から取り外し、内部基板を確認していく。

 「今後予定のソフトウエアアップデートに向け、車の側方・後方にLiDAR(レーザーレーダー)の装着が必要となります。つきましては、お買い上げの販売店と来店の日にちをご相談ください。なお装着に費用はかかりません」

 これは、ADを搭載するミライと「レクサスLS」のオーナーに向けてトヨタ自動車が出した案内である。LiDARをディーラーで後付けし、今後のソフト更新で覚醒させる計画だ。

 休眠状態のセンサーを機能させる仕組みとして、トヨタはAD搭載車にOTAに対応したシステムを導入した(図1)。

図1 ミライから取り出したADAS(先進支援システム)用ECU
図1 ミライから取り出したADAS(先進支援システム)用ECU
トヨタが「ADS ECU」と呼ぶもので、センサーで取得した情報を高速処理して車両制御の中核を担う。(撮影:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 実は既に、OTAによってADのソフトを2回更新している。トヨタグループで自動運転開発を担うWoven CoreでHead of Tech.の板橋界児氏(トヨタ自動運転・先進安全開発部主幹を兼務)によると、「合計で50項目を変更し、制御の性能を向上させたり表示系の分かりやすさを改善したりした」という。

 1回目のソフト更新は、車両発売から3カ月ほどたった2021年7月28日である。目玉は、深層学習(ディープラーニング)によるウインカー認識アルゴリズムの導入である。前方監視用のカメラで取得した時系列の画像から他の車両のウインカーの点滅を判定する。

 自車線内に進入してくる割り込み車両を早期に検出できるようになり、減速のタイミングを前倒しした。これにより車両の減速度(前後加速度の負の値)を減らせ、「安心感の向上につながる」(同氏)という。

 2回目のソフト更新は21年11月9日に実施。追い越しの際に作動する「側方間隔確保機能」の条件を変更し、より積極的に作動するようにした。同機能は例えば、全幅が広い大型車を追い抜く際、車線内で右に寄りながら走行するもの。このほか、車線変更支援機能を使える場面を増やせたという。液晶メーターのグラフィックスの背景色なども変更し、視認性を高めた。