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今さらモデル開発なんて

写真:マツダ
写真:マツダ
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 マツダ社内でモデルベース開発に否定的な人は見ませんが、拒否反応はありますね。今までやったことがないベテランは、今さらモデル開発なんてできるわけないじゃないかと。

 でもね、全員が解析モデルを作る必要はないのです。エンジンのメカニズムと理屈が分かっていれば、モデルを作るのが得意な技術者に伝えるだけですから。メカニズムを知らないと、モデルなんて作りようがないわけです。

 みんなが楽になるためのモデルベース開発。創造的なところに時間をかけましょうよ、ということなんです。

 最近、日本の自動車メーカーが集まり、エンジンの解析モデルを作る取り組みが始まっている。2014年にアイス(AICE:自動車用内燃機関技術研究組合)を設立した。マツダも参加する。

 メーカーによって、理解の度合いがまるで違います。ぐずぐず考える前に金を使って試作機を早く造ることを自慢する会社は、モデルベース開発への理解が遅いですね。

 逆に、試作機を造りたいけど、金がないからどうしようもない。ないなら、減らすしかないんだと考えるメーカーは理解が早い。

 今後は、深層学習(ディープラーニング)といった新しいアルゴリズムに期待しています。エンジンの制御変数がものすごく増えました。解析モデルを作っても、最初に変数を決めるところにはロジックがなんにもない。

 結局、やみくもな計算になりがち。過去のデータを学習させるディープラーニングみたいな技術を応用できれば、最初の方向性を決めやすいんじゃないかと。

 人見が最後の仕事と踏ん張るのが、次世代エンジン「スカイアクティブX」の開発だ。超希薄燃焼(スーパーリーンバーン)を実現し、燃費性能を格段に高める。一方で、研究と開発の組織体制の見直しに力を注ぐ。新技術を提案しては商品開発部門にボツにされ続け、会社人生の大半でふてくされていた人見。苦悩したからこそ、二つの組織の距離を見直せる。

 すごい技術提案があっても、何か一つ大きな課題を抱えていると、結局モノになりません。開発の最終段階で見つかると、もう無理なんですよ。