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ごまかしたような技術がいっぱいある

 次の次の世代である断熱エンジンは、技術研究所の担当です。断熱材料を探索し、工法を考えるところから研究しています。断熱の手段はいろいろあります。スカイアクティブXで実現する圧縮着火技術についても、現在開発している手法がゴールではない。もっと良くする手段があるはずです。

 スカイアクティブ第1弾を量産したときには、先行開発部門が第2弾の開発を始めていました。第2弾の開発は、先行開発から商品開発に移っています。先行開発部門は商品開発を支援しながら、第3弾の技術を研究所と一緒になって構想しています。

 スカイアクティブの成功後、人見は常務執行役員に昇進する。マツダでは、技術開発の方向性を立案する立場になった。

写真:加藤 康
写真:加藤 康

 技術の方向性を決めたり、開発の考え方をみんなに伝えるということは、まあ大事な仕事なんだろうなと思っています。

 方向性を決めるときは、すごく格好良く言うと、社会に貢献することを第一に考えます。本当に社会に貢献するものであればマツダの役に立つし、自分達の満足感を得られる。それを世界一と胸を張って言える技術で達成する。

 世界一の定義は、自分で決めればいい。ただ公言して恥ずかしくないものにしないと。「世界一複雑です」「世界一高価です」というのでは、自慢できないですから。

 社会に役立つ目標設定さえしておけば、開発中に失敗してもすぐに別の手段に切り換えられます。手段を選ぶ作業をしているだけで、目標を変えるわけじゃないですから。

 大事なのは、絶対にごまかさないこと。世の中にはごまかしたような技術がいっぱいありますからね。ごまかした目標を難しい手段で達成してもつまらないでしょ。(敬称略)

人見 光夫(ひとみ・みつお)氏
マツダ常務執行役員・シニア技術開発フェロー
1954年生まれ。岡山県出身。1979年東大院修了後、東洋工業(現マツダ)に入社。一貫してエンジン開発に携わり、2000年パワートレイン先行開発部長。2011年執行役員、2014年常務執行役員。2017年から現職。