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日本の自動車メーカーの米国事業が苦戦している。日本メーカーは、どうすれば米国市場で競争力を高められるのか。顧客の視点から見た日本車の現状と今後の対応策を、CS(顧客満足度)に関する調査会社である米J.D.パワー(J.D.Power and Associates)のダグラス・ベッツ(Douglas Betts)氏に聞いた。(聞き手=高田 隆)

2018年の米国における新車販売台数は、トヨタ自動車と日産自動車、ホンダの大手3社が前年実績割れとなった。その主な要因には米国市場がピークアウトし、セダンなど乗用車の販売が低迷していることがある。顧客の視点から見て、米国市場で日本車はどのように評価されているのか。

 当社は長年、「自動車初期品質(IQS)調査」を行っている。米国市場で新車を購入あるいはリース契約した人を対象に、購入・リース後の90日間に経験した不具合を調べたものだ。100台当たりの不具合数を「PP100」として点数化する。点数が少ない方が、初期品質がよいと見なす。

 2018年の調査結果を見ると、世界の自動車メーカーで品質の改善が進み、米国車と韓国車が日本車と欧州車を上回った。ここ数年で不具合の発生率は減り、各社の差は縮まってきた。現在、品質は競争力の源泉ではなくなってきている()。

図 品質に関するIQS調査の結果
図 品質に関するIQS調査の結果
各社の差は縮まっており、品質は競争力の源泉ではなくなってきている。(出所:J.D.パワー)
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品質に差がなくなったとすれば今後、日本の自動車メーカーの競争力の源泉は何になるのか。

 外装や内装などのデザインになる。2018年に行ったデザインに関するIQS調査の結果では、米国車と韓国車が大きく改善した。日本車と欧州車は停滞している。日本メーカーにとっては、デザイン面の改善が課題になる。いますぐに取り組まないと、5年先の評価を下げることになるだろう。