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Volvoが打ち出した新方針

 最近になってVolvoが自動運転に対する開発姿勢を転換させたのは、レベルという考え方に“違和感”を覚えたからだ。「そもそもレベルの区分けは技術的な目線で定義されたもの」(Ivarsson氏)で、レベルによる自動運転機能の違いを、クルマを利用する人が正しく理解するのは困難だという結論に至ったという。

 Volvoが「利用者の視点から再定義」(同氏)した自動運転は、運転の仕方を3通りに分けるというシンプルなもの。(1)完全自動運転か、(2)運転支援、(3)完全自動運転と運転支援を切り替えている状態─である。

 「2020年に向けて死亡者や重傷者をなくす」という目標を掲げているVolvoにとって、これら3つのうちで特に重要な役割を担うのが運転支援機能の強化だろう。

 衝突の回避や死亡リスクの最小化を進めるため、VolvoはADAS(先進運転支援システム)のプラットフォーム(PF)を刷新する。新PFの導入第1弾となるのが、Volvoブランド初の電気自動車(EV)「XC40 Recharge(リチャージ)」である。

 ADASの新PFで特に重視したのが、「機能を追加するために(車載コンピューターの)処理能力を高めること」(Ivarsson氏)だった。それに伴って、「対応できるだけのメモリーの容量も増やした」(同氏)という。

OTAにも対応

 Volvoは新PFで実現できるADASの一例として、Volvoは「交差点での事故を回避する機能」(同氏)を挙げる(図2)。Ivarsson氏によると、「特に高齢の運転者は交差点での事故リスクが高まる」という。他の車両や歩行者、自転車などの移動体への反応が遅れるためだ。

 交差点での事故を防ぐには、従来よりも幅広い範囲の状況を把握する必要がある。XC40 Rechargeでは、従来の車両よりもセンサーの数を増やす見込みだ。複数のレーダーとカメラ、超音波センサーを使う。

図2 Volvoは交差点事故の抑制機能を強化
図2 Volvoは交差点事故の抑制機能を強化
左折(日本では右折)時の衝突回避機能を実用化済みである。(出所:Volvo)
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 多くのセンサーで収集したデータを処理するために、車載コンピューターの能力を高める必要があった。車載コンピューターに搭載する処理ソフトウエアは、Volvoとスウェーデン・ヴィオニア(Veoneer)の合弁会社である同ゼニュイティー(Zenuity)が開発したものを採用する。

 Volvoが開発したADASの新PFは、ソフトウエアの遠隔更新で機能拡張する「OTA(Over the Air)」に対応する。車両を販売した後も、ソフト更新で機能を強化していく。