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英国、米カリフォルニア州、カナダ・ケベック州などが2020年、30年もしくは35年までにエンジン車の新車販売を禁止する意向を発表した。中国も、35年をめどに新車販売を環境対応車に絞る。脱エンジン車に向けた動きが加速しつつあるが、欧州の専門家はこの動きに待ったをかける。

 エンジンの開発をストップさせてはならない―。エンジンへの風当たりが強くなる中、こう警鐘を鳴らすのが、大手エンジニアリング・サービス・プロバイダー(ESP)のドイツIAVのMarc Sens氏だ。同氏は、35年に向けて自動車が排出する二酸化炭素(CO2)相当量を減らしていくには、高効率なエンジンが不可欠と断言する(図1注1)。電気自動車(EV)の普及だけでは、排出するCO2相当量の低減効果に限界があるためだ。

図1 マツダのガソリンエンジン「SKYACTIV-X」
図1 マツダのガソリンエンジン「SKYACTIV-X」
火花点火制御圧縮着火(SPCCI)と呼ぶ独自の燃焼方式によって高効率化を追求した。(撮影:日経Automotive)
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注1)CO2相当量とは、温暖化係数に基づき温暖化ガス(GHG)の排出量をCO2の排出量に換算した値。

 その根拠とするのが、自動車から排出されるCO2相当量に関する、同社で実施した解析の結果だ。20年から35年にかけて欧州で新車として販売される自動車のパワートレーン構成比については、さまざまな企業や研究機関、団体が予測(シナリオ)を発表している。それらのシナリオのうちのいくつかに対し、同社はライフサイクルアセスメント(LCA)の視点から解析を実施した。

 同解析では、パワートレーンの内訳は、ディーゼル車をベースとした簡易ハイブリッド車(MHEV)、ガソリン車をベースとしたMHEV、CNG(圧縮天然ガス)車、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、EV、燃料電池車(FCV)のような水素自動車としている。解析においては、自動車から排出されるCO2相当量として、車両生産/燃料生産/発電時に排出されるものも加味している。