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新型コロナウイルスの影響も

 また、20年に新型コロナウイルス感染症が拡大したこともEV/PHEVの成長を支えた一因であるとJATO Dynamicsはみている。パンデミックによって欧州全域でロックダウンが実施され、自動車市場は大きく落ち込んだ。欧州諸国はこれを回復するために、持続可能なクルマの販売を促進することにし、一部の国ではゼロエミッションおよび低排ガス車へのインセンティブを導入した。これにより、自動車メーカーのマーケティングは消費者をEVやPHEVに引き寄せるものへと変わった。その結果、エンジン車より低排ガスの電動車を選択する人が増えたという。

 国別にみると、オランダ、デンマーク、ポルトガル、スウェーデン、フランス、フィンランドの6カ国は、平均CO2排出量が100g/km未満となった(図2)。これはEV/PHEVの登録数が多い国であり、スウェーデンは市場全体の登録台数に占めるEV/PHEVの割合が32%、オランダは25%となっている。反対にEV/PHEV普及率が低いスロバキア、チェコ、ポーランドはCO2排出量が多い。

図2 国別の平均CO<sub>2</sub>排出量
図2 国別の平均CO2排出量
NEDC相関値。欧州21カ国における20年の値。(出所:JATO Dynamics)
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SUVのEV化が進む

 自動車市場が落ち込む中でもSUV(多目的スポーツ車)の人気は衰えず、20年の登録台数全体に占めるSUVのシェアは40%となった。セダンやハッチバック車に比べて大きく重いSUVのCO2排出量は多く、平均してSUVはその他のセグメントよりCO2排出量が18%多い(図3)。小型SUVでもエグゼクティブカーを上回る。

図3 車種別の平均CO<sub>2</sub>排出量
図3 車種別の平均CO2排出量
NEDC相関値。欧州21カ国における20年の値。(出所:JATO Dynamics)
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 しかし、SUV全体の平均CO2排出量は19年より16.2g/km減少した。これは、5つの主要セグメント(普通車、ミニバン、スポーツカー、SUV、バン)の中で最大の減少幅となった。その理由は、SUVのEV/PHEVラインアップが増えたためだ。

 これまでのEVラインアップは小型車や中型車が多く、米Tesla(テスラ)の「モデル3」、フランスRenault(ルノー)の「ZOE」、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン)の「ID.3」が欧州のトップ3となっている。大きく重いSUVのEVは1回の充電で走行できる距離が短いのが欠点だったが、最近では中型SUVで航続距離が400kmを超えるモデルも出てきた。メーカーはSUVを電動化することに注力しており、今後はより多くの電動SUVが導入されると見込まれる。JATO Dynamicsは「ゼロエミッションおよび低排出SUVに焦点を当てることで、売り上げの減少を相殺することができる」とした。