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欧州で自動車アセスメントを手掛けるEuro NCAPは2022年3月、今年最初の衝突試験結果を発表した(図1)。新たに試験したのは、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)の小型車「Polo」とクロスオーバー車「Taigo」、フランスRenault(ルノー)の電気自動車(EV)「Megane E-TECH」、トヨタ自動車のプラグインハイブリッド車(PHEV)「Lexus NX」、ドイツBMWの「2シリーズ クーペ」の5車種。このうち、2シリーズ クーペのみ4つ星で、ほかはすべて5つ星となった。

図1 VW「Polo」の前面衝突試験の様子
図1 VW「Polo」の前面衝突試験の様子
(写真:Euro NCAP)
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 VWのEV「ID.5」は先に試験した「ID.4」と結果を共有できることが確認され、5つ星と認定された。同様に、米Ford Motor(フォード・モーター)の「Tourneo Connect」も姉妹車の「Caddy」と結果を共有できるため5つ星と認定された。

 欧州では22年7月に車両安全に関する新しい法律が導入される予定で、緊急自動ブレーキや速度アシストなどの重要な安全システムの装備が義務付けられる見込みだ。今年で25年目となるEuro NCAPは、次の10年の安全技術向上に向けて、新しいロードマップを作成している。Euro NCAP事務局長のMichiel van Ratingen(ミヒール・ファン・ラティンゲン)氏は、「過去10年間ほど先進運転支援システム(ADAS)の評価に注力してきた私たちにとって、次の10年はより大きな挑戦が待ち受けている。各種の運転支援や自動運転といった新技術を評価し、自動車購入者に有益な情報を提供し続けなくてはならない」と述べている。

高評価の小型EV、Megane E-TECH

 欧州で人気が高いPoloは、改良でデザイン変更のほか多くの安全技術を追加した。特に新しいセンターエアバッグと高性能な衝突予防システムを装備したことで、5つ星を獲得できた(図2)。衝突が発生した場合に緊急サービスに通知する「eCall」や、衝突後に二次衝突を避けるためにブレーキをかけるシステムも搭載する。

図2 Poloの安全性評価要約
図2 Poloの安全性評価要約
(出所:Euro NCAP)
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 TaigoはPoloをベースとした小型クロスオーバー車だ。Poloと同様の安全装備を搭載している。クロスオーバー化により、チャイルド保護性能と歩行者の保護性能がPoloより高くなった。

 小型ハッチバック車のEVであるMegane E-TECHは、車体剛性や乗員拘束システムを改良し、緊急自動ブレーキなどのADASを搭載することで5つ星になった(図3)。標準装備の緊急自動ブレーキは、歩行者や他車をよく検出でき、ほとんどの試験シナリオで衝突を回避または衝撃を軽減できた。一方で、ヘッドランプおよびフロントフード前端が固く、歩行者と衝突した際の腰部への衝撃が大きかった。また、頭部が当たるフロントウインドーの下端やフロントピラー部分の評価も低い。そのため歩行者保護性能は得点率65%にとどまった。

図3 ルノー「Megane E-TECH」の安全性評価要約
図3 ルノー「Megane E-TECH」の安全性評価要約
(出所:Euro NCAP)
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