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2000年頃から各国が微小粒子状物質(PM2.5)の大気環境基準を設定し始めた。発生源の1つとして、自動車排出ガス中の粒子状物質の規制も強化が続く。そして、従来の排出質量(PM)としての規制は、その計測に困難を伴う水準となっている。PM規制と計測の最新状況を解説する。(編集部)

 ディーゼルエンジンは、大気汚染物質である粒子状物質の排出源としても注目されている。ぜんそくなどの健康被害が特に懸念されるため、自動車から排出される粒子状物質の質量を「PM」として規制するようになった。

 自動車排出ガス規制でいうPMは、「エンジンからの排出ガスを希釈トンネルという装置に導き、空気で希釈して52℃以下まで冷却した後に、フィルターに捕集される物質」のことである。言い換えると、「フィルター重量法」と呼ばれるこの捕集・計測方法により、PMが定義されているのである。

 自動車排出ガスのPM規制は、年々厳しくなっている(図1)。近年は、ディーゼル車のみならず、直噴技術を搭載したガソリン車もPM規制の対象とされるようになった。このような規制の強化に伴う削減技術の進展により、PM排出量は大きく減少している。

図1 ディーゼル乗用車に対するPM規制値の推移
図1 ディーゼル乗用車に対するPM規制値の推移
北米の規制値はg/マイルをg/kmに換算した。試験サイクルは各国で異なる。EPAは米環境保護庁のこと。
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 PM排出量が微少になるにつれて、その計測が難しくなってきた。解決策として、欧州では、2011年に従来のPM規制に加えて、粒子数(PN:Particulate Number)という新しい定義での規制を開始した。粒子状物質の排出量減少に合わせて、PM・PNの両方で規制していく形である。国内においても、現行のPM規制をそのまま強化した場合の計測精度上の問題を懸念し、粒子数規制導入も視野に入れた検討がなされている1)

 一方、欧州と同様に厳しい規制値を制定している米国では、現在のところ、PNのような新しい計測項目は提案されていない。加えて2012年には、カリフォルニア州の独自規制「LEV(Low Emission Vehicle) III」が採択された。PM規制値として、2017年から3mg/マイル、2025年から1mg/マイルという、全米のPM規制値より厳しい目標が示された。

 ただし、米国では、カリフォルニア州が全米とは別の排出ガス規制を実施できる制度を見直す動きも出ており、LEV IIIの規制値が最終的に適用されるかどうかは不透明である。