クルマや鉄道、バスなどあらゆるモビリティーを連携させて移動の利便性を高めるサービス「MaaS(マース、Mobility as a Service)」。その普及は、自動車メーカーにとって自家用車を売って稼ぐ主力商売が瓦解することを意味する。一方で躍進するのが、自動運転開発で先行するグーグル親会社の米アルファベット。トヨタ自動車とソフトバンクの提携は、アルファベットを追いかけるのに欠かせない一手だ。MaaS時代に向けたトヨタの勝機を探る。

連載
トヨタはグーグルに追いつけるか、MaaSの恐怖
ソフトバンク提携の意義
目次
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トヨタのMaaS戦略、ソフトバンクと組みB2Bに活路
Part1
MaaS(移動サービス)に出遅れたトヨタ。「B2C」として自らMaaSを提供するのではなく、MaaS運営者に自動運転車とその利用基盤を提供する「B2B」に活路を見い出す。主要MaaS運営者の筆頭株主であるソフトバンクと提携し、将来の顧客に近づく。
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トヨタがMaaSと距離を置くワケ
Part2
トヨタが自らMaaSを手掛けることから距離を置くのは、もうけにくいとみるからだ。MaaSは地域ごとの公共交通機関との連携が必要な“局地戦”といえ、手間と時間がかかる。トヨタはMaaS運営者が望む、維持管理費の低い自動運転車の開発に活路を見いだす。MaaS運営者の要望に積極的に応じ、先行するグーグル…
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グーグルの描くMaaS、都市まで支配しトヨタは「ティア2」か
Part3
自動運転車の開発で他を圧倒して先行するのがグーグル系のウェイモである。トヨタですら、勝つ道筋が見えない。しかもトヨタをあざ笑うかのように描く未来図は壮大だ。MaaSの先を見据えた都市プラットフォームの構築に着手する。トヨタは強さの源泉であるデータの囲い込みにくさびを打ち込む。必死の戦いに迫る。
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モビリティーシェア、夢と現実 日本版MaaSの実力
Part4
MaaSは、自動車にとどまらず、鉄道やバス、自転車などを巻き込む壮大なサービスである。その先行事例と言えるのが、カーシェアやサイクルシェアなど個別のモビリティーシェアサービスだ。実のところ日本では、モビリティーシェアに20年以上の歴史がある。国内主要各社の現状の実力を見つつ、未来のMaaSの可能性…