PR

夜間歩行者の認識を実現するのは容易ではない。暗闇で効率良く認識する方法が求められる。しかも、小型車や軽自動車などの量産車では、安易なコストアップは受け入れられない。スズキの小型車「ソリオ」に搭載した新型ステレオカメラはこれらの条件を満たし、好成績を収めた。機械学習や高性能マイコンの採用で、コストはそのままに夜間の歩行者に対応した。

 自動ブレーキ用センサーを夜間歩行者に対応させるのは難しい。昼間の歩行者に対応していたセンサーのソフトウエアとハードウエアの両方の改良が求められる。ただ、小型車や軽自動車に搭載するには、コストや小型化という課題が出てくる。

 量産車に夜間歩行者対応の自動ブレーキを搭載する指標となるのが、今回のJNCAP試験で上位に食い込んだスズキの小型車「ソリオ」である(図1)。日立オートモティブシステムズが開発した新型ステレオカメラを搭載。同カメラは検知性能を高めながらコストを従来と据え置き、50%超の小型軽量化を実現した。その強みは、(1)AI(人工知能)の一種である機械学習の採用で高精度の認識を実現、(2)高性能マイコンの採用でデータ処理を高速化、(3)マイコンの搭載数を減らして小型・低コスト化──の3点である。

図1 スズキの小型車「ソリオ」
図1 スズキの小型車「ソリオ」
日立オートモティブの新型ステレオカメラを搭載し、夜間歩行者の検知性能を実現した。(出所:スズキ)
[画像のクリックで拡大表示]

 日立オートモティブの新型ステレオカメラは、数十万枚の画像を教師データとすることで、夜間認識を実現した。競合各社は、AI対応センサーの開発段階にとどまる。日立オートモティブは、AIカメラの実用化で先行した。また、Part1で触れたように同社の新型カメラは夜間の歩行者検知性能で、世界の競合を引き離す(図2)。

図2 ソリオの試験のようす
図2 ソリオの試験のようす
対向車がある場合に、50km/hまでの車速で、歩行者を模擬したダミー人形を認識して衝突を回避した。対向車がない場合は、車速60km/hまで衝突を回避した。(出所:NASVA)
[画像のクリックで拡大表示]

 自動ブレーキを夜間の歩行者に対応させるには、いくつかの課題がある。まず周囲が暗いため、昼間に比べて歩行者をカメラで捉えにくい。次にロービームを照射した歩行者をカメラで捉える場合、はじめは上半身が暗く下半身が明るく映る。こうした画像から、歩行者かどうかを判断しなければならない。

 また、街灯やショーウインドーの明かりなどが歩行者の体の一部に当たると、カメラで撮影した画像は昼間とは異なるものになる。例えば歩行者の体全体は見えているが、体の場所によって明るさが異なる画像を、歩行者であると正確に判断するのは難しい。