中国・福建省の一角に、新たな“街”が形成されようとしている。ホテルやマンションなどが立ち並ぶが、実は電気自動車(EV)向けの電池を量産する工場だ。持ち主は、2011年に創業したばかりの中国・寧徳時代新能源科技(CATL)。2017年に世界最大の電池メーカーに上り詰めた。自動車メーカーやメガサプライヤーをも飲み込む勢いで、EV市場を主導し始めた。

特集
トヨタを脅かすCATL
目次
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欧州2030年規制の衝撃
Part1 電池の巨人が握る主導権
2030年に向けた環境規制の強化を受けて、電気自動車(EV)の普及への道筋が見えてきた。同時に、自動車業界の均衡を崩し始めたのが中国・寧徳時代新能源科技(CATL)だ。車載電池で世界最大手の同社は、電池セルの供給の枠を超えてEV開発に影響力を持ち始めた。
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EVがエンジン車と同等価格に
Part2 EVのメガサプライヤーになる
一気に世界最大の電池メーカーに上り詰めた中国・寧徳時代新能源科技(CATL)。電気自動車(EV)の心臓部を握る同社に、世界の自動車メーカーが群がる。供給先を選べる立場にあるCATLは、電池セルメーカーからの脱皮を狙って動き始めた。
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競争は30年、全固体電池で先行
Part3 黎明期を協調で乗り切るトヨタ
電動車両の普及計画を5年も前倒ししたトヨタ自動車。あくまで主軸はハイブリッド車(HEV)で、電気自動車(EV)とは一定の距離を置く。EV市場が“協調”から“競争”に移った際のEVの競争軸となるのが電池である。
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あえて「EVとして売らない」
Part4 中国EVスタートアップの攻め方
中国で電気自動車(EV)のスタートアップが続々と登場している。50社とも60社とも言われる新興勢が注力するのは車両開発ではない。サービスや自動運転などクルマとしての魅力を高める取り組みで、立ち位置を確保する。