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買収を繰り返して事業の分野を広げてきたドイツ・コンチネンタル(Continental)。これまで急成長を支えてきた全方位の拡大戦略を転換し、注力する領域を絞り始めた。象徴的なのが、「レベル3」の自動運転は普及しないというシナリオを描いたことだ。パワートレーンに関しても、内燃機関の開発を2025年をめどに中止する方針を打ち出した。

 ドイツ・コンチネンタル(Continental)が、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の力の入れ方に濃淡を付け始めた。

 「レベル3の自動運転車が普及する時代は当面来ない」─。多くの自動車メーカーに自動運転やADAS(先進運転支援システム)向けの部品を供給するContinentalのトップが断言した。同社CEO(最高経営責任者)のエルマー・デゲンハート(Elmar Degenhart)氏が明かした将来シナリオは、自動運転市場の現実解を示すような内容だ(図1)。

図1 ContinentalでCEOを務めるElmar Degenhart氏
図1 ContinentalでCEOを務めるElmar Degenhart氏
2019年7月上旬にドイツ・ハノーバーで開催した技術取材会「TechShow 2019」で自動運転やパワートレーンの開発方針を説明した。(撮影:日経Automotive)
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 Continentalはパワートレーンの開発方針も改めた。最大のポイントは、「2025年までに開発を始めるエンジンを最終世代にする」(同氏)と決めたこと。

 Degenhart氏は「今後10年間で自動車産業の規模は2倍に拡大するが、成長分のほとんどはソフトウエアによるもの」と読む。個社でCASEを全方位で取り組むのは困難で、Continentalは開発テーマの取捨選択や技術者の大胆な配置転換に着手した。

レベル2の技術開発に注力

 同社の予測では、2030年時点で世界の新車販売台数の占める「レベル3」の自動運転車の割合は数%にとどまる(図2)。一方、あくまで運転支援の領域である「レベル2」のシステムは、新車の過半に搭載されると予測する。

図2 Continentalが示した自動運転市場のシナリオ
図2 Continentalが示した自動運転市場のシナリオ
普及するのは「運転支援」であるレベル2のシステムと読む。レベル3~5はほとんど普及しない。図は、Continentalの資料を基に日経Automotiveが作成。
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 レベル3の最大の難しさは、運転の権限がシステムから人に移譲する場合があることだ。これにより、事故が起こった際の責任の所在が問題になる。レベル3の自動運転中の事故は自動車メーカーが責任を負うが、レベル2は「運転支援」であり、事故の責任は運転者にある。レベル3の実現は、「数年前に想定していたよりもはるかに難しいことが分かってきた」(Continentalの自動運転担当者)ことから、Continentalはレベル2向けの技術開発に注力する方針を固めた。

 それでも、レベル3以上の自動運転に向けた開発をやめるわけではない。MaaS(Mobility as a Service)向けの車両では、「(システムが運転の責任を担う)『レベル4/5』の無人運転タクシーが2025年ごろから都市部を走り回る」(Degenhart氏)と見通す。

 レベル3はスキップ-。Degenhart氏が固めた戦略に沿って、Continentalはレベル2向けに2020年ごろから量産するセンサーや新機能を中心に拡販を進めつつ、レベル4/5向けに開発した技術や冗長機構などを準備する。