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 「当社には熱がある」─。あるデンソーの技術者は言う。比喩ではなく、文字通りだ。欧米のメガサプライヤーになく、デンソーが強みを持つのが熱を自在に操る技術である。

 デンソー社長の有馬浩二氏は、カーエアコンを中心とするサーマルシステムを「成熟事業」と位置付ける(図1)。世界シェアでトップの製品をそろえ、2018年度は同社の売上高のうち26.2%の1兆4039億円に達した。

図1 デンソー社長の有馬浩二氏
図1 デンソー社長の有馬浩二氏
同社は2019年5月に、報道関係者や投資家向けの事業説明会を開催した。「海図なき大海原での戦いの真っただ中にいる」と説明した。(撮影:日経Automotive)
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 2025年度に全社売上高7兆円の目標を掲げるデンソーは、「成熟事業(であるサーマルシステム)でしっかり稼ぐ体質を作りつつ、成長市場にリソースを割いていく」(有馬氏)戦略を進める(図2)。サーマルシステムで手堅く収益を下支えし、「成長事業」の電動化や自動運転に向けた次世代技術の種まきを急ぐ。成長事業での欧米メガサプライヤーとの違いは、半導体を中心とするコア技術を内製する点だ。

図2 売上高を2025年度に7兆円に
図2 売上高を2025年度に7兆円に
デンソーの安定した収益を支えるのは、同社最大の事業セグメントである「サーマルシステム」である。2025年度までに、同事業を2016年度に比べて売上高を1.3倍にする計画だ。(出所:デンソー)
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