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CASEが内燃機関を深化させる

 4つの開発要点においては、CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリングサービス、電動化)の相乗効果が欠かせない注2)

注2)CASEは、モーターショーだけでなく学会などでも多用されるほど、自動車業界にとっては当たり前の言葉だ。自動車の未来を大きく変える象徴として用いられることが多い。ただ、ときには、内燃機関を用いてきた従来の古い車社会と比較して、将来の新たな流れの象徴として使われることも少なくない。だがそれは違う。CASEの技術を活用することで、内燃機関の役割が深化できるのだ。

 第1は、図2でも示した「電動化」の技術だ。モーターやブレーキ回生などの技術で内燃機関を支援する。

 第2に、エンジンの最高熱効率が「熱効率50%+α」といった、究極の熱効率の実現である。内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「革新的燃焼技術」(2014~2018年度)の研究で最高熱効率50%の目途がついている。さらなる熱効率向上は容易ではないが、「電動化」を活用することで実現できる道筋が見えてきた。詳細は後述する。

 第3と第4の「外部情報を活用した制御(コネクテッド)」と「エコ運転制御(自動運転)」は、燃費向上に貢献する。

 例えば、車が外部情報とつながれば、目的地までの交通情報や地形情報を取得できる。この情報を基に、加速や減速を制御したり、エンジンの作動開始や停止を制御したり、電池への充電タイミングを判断したりすることで、効率よい運転が可能になる。さらに、AIを活用して、加速や減速といった運転者の意向を読み取ったエコ運転制御を実施すれば、燃費の向上につながる。コネクテッドと自動運転を組み合わせることで、CO2の排出量が抑制できる。

 2030年に2010年比で70%CO2を削減する効果の内訳は、電動化と熱効率向上の組み合わせで7~8割、コネクテッドと自動運転の組み合わせで2~3割と見ている。

 なおAICEでは、このコネクテッドと自動運転の活用を見据えた活動の1つとして、モデルベース環境の構築を進めている。理由は、取り扱う情報が飛躍的に増加することにある。従来のエンジン制御に加え、道路の混雑や制限速度の情報、路面の状態、地形情報といった外部の情報を加味した制御が今後は必要だ。さらに、モーターや電池の温度情報、エンジン各部の温度予測などにも配慮しなければならない。従来に比べて膨大な変数を制御しながら、最適な制御を導き出す必要がある。そのためには、モデルベースでの研究が不可欠なのだ。