米テスラ(Tesla)の技術力はどれほどのものか―。実力を確かめるため、同社初の本格量産車「モデル3」を購入して分解した。年間50万台規模を計画する電気自動車(EV)の内部から飛び出した最大の驚きは、自動運転だけでなく車両全体を制御する統合ECU(電子制御ユニット)だ。3kgに満たない“頭脳”はTeslaの強さの源泉となると同時に、自動車業界の部品供給網(サプライチェーン)をがらりと変える影響力を持つ。

テスラ分解、強さの源泉
統合ECUの衝撃
目次
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テスラの電子プラットフォーム、トヨタやVWより6年先に理想形
Part1 既存メーカーはサプライチェーンが重荷に
新型の電気自動車(EV)や自動運転の開発に注目が集まる米テスラ(Tesla)。だが、同社の強さの源泉は他にある。車載電子プラットフォーム(基盤)だ。既存の自動車メーカーが2025年以降に導入予定の“理想形”をいち早く導入した。この実用化は、自動車業界の従来型サプライチェーンを崩壊させる可能性を秘め…
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写真で見る、テスラ「モデル3」 の主要部品
パワートレーンから統合ECUまで
「部品点数が少なすぎる。本当にこれでクルマが動くのか」―。米テスラ(Tesla)の電気自動車(EV)を分解調査した技術者は、旧来のガソリン車との違いに目を見張る。パワートレーンは、インバーターとモーター、減速機を一体化した駆動モジュールになっていた。
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テスラが先行、少数精鋭の統合ECUが競争力に
Part2 カメラは“画像処理チップレス”化
米テスラ(Tesla)の「モデル3」が他の車両と圧倒的に違う点が分解で明らかになった。わずか数個のECU(電子制御ユニット)で、「走る」「曲がる」「止まる」の制御を完結させる。
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テスラ「モデル3」の自動ブレーキ試験、ACC作動時はどうなる
Part3 自動運転機能の実力
米テスラ(Tesla)が開発した自動運転用コンピューターの性能はどれほどか。実力を確かめるため、緊急自動ブレーキ機能を独自評価した。手動運転だけでなく、車速を自動調整するACCを作動させた条件も設定。ACC作動時は、テストドライバーが舌を巻くほど滑らかに減速した。
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テスラ“電池交換式”を諦める、「モデル3」分解で判明
Part4 電動パワートレーンの進化
「モデル3」のパワートレーンを分解して分かったのが、米テスラ(Tesla)の手堅さだった。他の自動車メーカーよりも先に一体型の駆動ユニットを採用しつつ、独自技術を盛り込んだ。インバーターや車載充電器はSiC(炭化ケイ素)パワー半導体をふんだんに使う。一方で、電池パックは“交換式”の理想を捨て、愚直…
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テスラ、アルミから鋼板へ戻す
Part5 量産車のボディー設計
米テスラ(Tesla)が「モデル3」で狙うのが、量産メーカーという地位の確立だ。その決意の表れがボディーで、軽量化よりも量産性やコスト低減を優先させた。販売価格を3万5000ドルからに抑えて年間50万台規模の量産を目指すため、高級セダン「モデルS」で多用したアルミニウム(Al)合金は最小限にとどめ…