自動車メーカーがソフトウエア企業になりつつある。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)を背景に、クルマのソフト比率が上昇し、ソフトの開発力が勝敗を決めるようになったからだ。スマートフォン業界の米アップル(Apple)や米グーグル(Google)の姿と重なるが、人命を預かるクルマでは安全性やセキュリティーへの配慮が格段に難しくなる。

ビークルOS時代の自動車戦略
自動車メーカーがソフトウエア企業になりつつある。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)を背景に、クルマのソフト比率が上昇し、ソフトの開発力が勝敗を決めるようになったからだ。スマートフォン業界の米アップル(Apple)や米グーグル(Google)の姿と重なるが、人命を預かるクルマでは安全性やセキュリティーへの配慮が格段に難しくなる。
Part1 ソフトを手の内化
自動車メーカーの競争の舞台が、ハードウエアからソフトウエアにシフトしている。象徴的なのが、“ビークルOS"と呼ばれる車載ソフト基盤である。ドイツ・フォルクスワーゲン(Volkswagen、VW)は「vw.OS」を実用化し、トヨタ自動車グループは「アリーンOS(Arene OS)」を開発中だ。これら…
Part2 目指すは統合ECU
自動車メーカーが新たなソフトウエア基盤として整備する“ビークルOS"は、高い処理性能を持つ統合ECU(電子制御ユニット)への搭載が前提になる。統合ECUでは、これまでのECUとはソフト開発の手法が異なり、IT業界の手法に近づく。ITの本場、米国シリコンバレー流のノウハウを取り入れる動きが始まってい…
Part3 悩ましいセキュリティー
クルマのソフト開発で避けて通れないのが、サイバーセキュリティーの対策である。これまでは自動車メーカー各社が個別に対策してきたが、いよいよ2022年から欧州で義務化される方向だ。新規格「ISO/SAE 21434」に準拠するクルマでないと、型式認証を取得できず、欧州で販売できなくなる。残された時間は…