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既存のエンジン車からの流用ではなく、当初から電気自動車(EV)への適用を前提として開発したプラットフォーム(PF)を採用する新世代のEV―。そうしたEVが欧州市場を中心に2021年にかけて続々と登場する。興味深いのは、そこには各社のEV戦略の違いが色濃く反映されていることだ。

 「(日産自動車初の量販EV)『リーフ』が発売されてから10年、我々にはEVのビッグデータを活用したノウハウが蓄積された。そして顧客から貴重な意見をいただいた。もちろん厳しい声もあった。この声を開発に生かし、我々は全く新しいEV専用PFを生み出した。アリアを皮切りに、この新しいPFから無限の可能性が生み出されていく」。2020年7月15日に開催されたアリアの世界初公開における同社社長兼CEO(最高経営責任者)の内田誠氏の言葉だ(図1)。

図1 アリアのワールドプレミアに登場した日産自動車社長兼CEO(最高経営責任者)の内田誠氏
図1 アリアのワールドプレミアに登場した日産自動車社長兼CEO(最高経営責任者)の内田誠氏
(出所:日産自動車)
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 10年に販売を開始したリーフを皮切りに、当時は全く新しいパワートレーンの次世代車として市場に投入されたEV―。これまでの10年は、市場での認知度を高めるそんな期間だった。そして今、EVは、市場での存在感を高める第2幕へと足を踏み入れようとしている。それをけん引するのが、これまでの経験を踏まえて開発した新世代のEVである。