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新世代EVの総所有コスト(TCO)をエンジン車並みに下げる。その姿勢を鮮明にしているのが、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)と、フランスGroupe PSA(グループPSA)だ。だが、そのための両社のアプローチは対照的である。大きく違っているのは、プラットフォーム(PF)と仕様の展開に対する考え方だ。

 新世代の電気自動車(EV)において、同じTCO重視の戦略を採るVWとグループPSA―。満充電時の航続距離(以下、航続距離)が欧州のWLTPモードで300km以上のハッチバック車タイプのEVを、ドイツの場合で3万ユーロ(1ユーロ=126円換算で378万円)未満と戦略的な価格で提供する(図1)。EVの取得コストを下げ、TCOでエンジン車並み、もしくはそれ以下を実現する。そんな両社だが、そのアプローチには大きな違いがある。

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図1 VWとグループPSAのハッチバック車タイプの新世代EV
(a)VWの「ID.3 Pure」、(b)グループPSAの「プジョーe-208」。WLTP航続距離は、ID.3 Pureが330km、e-208が340km。ドイツでの車両価格は、ID.3 Pureが3万ユーロ(1ユーロ=126円換算で378万円)未満、e-208が2万9682ユーロ(同約374万円)。同価格は、VWの発表および「Electric Vehicle Database」(https://ev-database.org/)のデータ(日本時間20年8月14日時点)に基づく。e-208は日本でも2020年7月に発売され、日本での車両価格も389万9000円からと400万円を切る戦略的な値付けになっている。(出所:VW、グループPSA)