全4139文字
PR

レベル4の自動運転。その中核となるセンサーとソフトで、自動車メーカーとのあつれきを恐れず、異例の分業をもくろむのがイスラエルMobileye(モービルアイ)だ。一方、イメージセンサー単体の汎用品化に備えて、ソニーや米ON Semiconductor(オン・セミコンダクター)は“隣地”の技術を統合する戦線拡大に挑む。センサーとソフトの分業と統合の線引きを巡り、各社の駆け引きが激しくなってきた。

 Mobileyeが、自動運転における安全基準の標準化に着手した。表向きの狙いは、自動運転ソフトの安全性を対外的に説明しやすくすること。裏には同ソフトの開発で異例の「分業」を実現し、自らの強みをさらに強くするしたたかな思惑がある。「安全」という自動車メーカーの存在意義に関わる領域に果敢に攻め込み、自動運転ソフトで先行する米Google(グーグル)から独立したWaymo(ウェイモ)を追いかける。

 Mobileyeは、「RSS(Responsibility-Sensitive Safety)」と呼ぶ数式で記した自動運転の安全基準について、2020年から「IEEE(米国電気電子技術者協会)P2846」で標準化作業を始めた(図1)。同年内に草案を発行する計画である。

図1 安全のアルゴリズムを標準化
図1 安全のアルゴリズムを標準化
Mobileyeは、安全な自動運転ソフトにするための考え方を提案する。前後方向の距離や交差点における動作など多くの場面の制御方法を定式化し、標準化することを目指す。(出所:Mobileye)
[画像のクリックで拡大表示]

 RSSは、例えば前後方向の車間距離や、割り込みを防ぐ横方向の距離などを定式化したもの。RSSに基づく自動運転ソフトであれば、基本的な安全は担保されるとうたう。「決して事故を起こさない自動運転ソフトであることを証明するもの」(Mobileye)を目指す。

 自動運転ソフトの開発企業にとって大きいのは、仮に“もらい事故"が起きたとき、標準化手続きを経たRSSに基づくソフトであれば、事故の責任がないことを対外的に説明しやすくなることだ。