全4139文字
PR

「判断」もイメージセンサーも分業へ

 MobileyeはRSSの標準化で、かねて強い認識ソフトをさらに強くする狙いを込める。

 どういうことか。RSSの標準化とは、自動運転ソフトを構成する「認識」「判断」「操作」の3大要素のうち、加減速や進路などの車両の動きを決める「判断」の根幹のアルゴリズムを標準化し、非競争領域にすることを意味する。競合同士が同じようなアルゴリズムを使うことになるわけで、「判断」に大きな優劣がなくなるわけだ。「操作」が既存技術の延長として各社の差は小さいと仮定とすると、Mobileyeの最大の強みである「認識」ソフトの優位性が、そのまま自動運転ソフトの優劣につながる。Mobileyeの強みを最大限に発揮する仕掛けの1つが、RSSとも言える。

 さらにMobileyeは、RSSによって認識ソフトの開発工数を抑えられる利点が生まれるとも見込む。RSSによって判断ソフトの根幹が固まると、「認識ソフトの変更を迫られることが減る」(モービルアイジャパン代表取締役の川原昌太郎氏)からだ。

 例えばRSSと大きく異なり、衝突回避の制動を随分早く開始する判断ソフトがあった場合を考えると、認識ソフトはRSSよりもかなり遠方の障害物を検知する必要がありそうだ。認識ソフトの大幅な変更にとどまらず、センサー自体を見直すことになりかねない。

 既存の自動車メーカーの領空侵犯を恐れず、自動運転で最も重要な「安全」の確立に果敢に挑み、異例のソフト開発の分業をもくろむMobileye。かねてソフトと一体で開発してきたと言えるイメージセンサーの本格的な分業にも取り組み始めた。同社が中核と考える認識ソフトと高精度地図、SoC(System on a Chip)以外は、調達の自由度を高くして、選択肢を広げる。

 これまで、ON Semiconductorのイメージセンサーを採用してきた(図2)。分業してきたと言えなくはないが実態は二人三脚で、ON SemiconductorのセンサーとMobileyeの認識ソフトを統合して開発していたようなものだった。

図2 ON Semiconductorのイメージセンサー
図2 ON Semiconductorのイメージセンサー
画素数が約230万の「AR0231」。SUBARU(スバル)が新型「レヴォーグ」に採用したもの。(出所:ON Semiconductor)
[画像のクリックで拡大表示]

 今後、いよいよ他社製イメージセンサーの採用を始める。間もなく、米OmniVision Technologies(オムニビジョン・テクノロジーズ)製センサーと、Mobileyeの最新SoC「EyeQ4」を採用した車両が量産されるという。さらにMobileyeは、ソニー製イメージセンサーの採用も進めている。