「ブレーキは怖い部品。できれば変更したくない」――。ある自動車メーカーのチーフエンジニアが漏らす。それにもかかわらず、SUBARU(スバル)やトヨタ自動車、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン)など、ブレーキシステムの刷新・改良が相次いでいる。各社が採用を加速させているのが電動油圧ブレーキ。リスクを承知の上で、しかもガソリン車では必須でない高コストな部品をあえて採用する理由はどこにあるのか。

写真:コンチネンタル、Euro NCAP、フォルクスワーゲン、日経Automotive
環境から安全対応へ
「ブレーキは怖い部品。できれば変更したくない」――。ある自動車メーカーのチーフエンジニアが漏らす。それにもかかわらず、SUBARU(スバル)やトヨタ自動車、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン)など、ブレーキシステムの刷新・改良が相次いでいる。各社が採用を加速させているのが電動油圧ブレーキ。リスクを承知の上で、しかもガソリン車では必須でない高コストな部品をあえて採用する理由はどこにあるのか。
Part1 ブレーキの世代交代始まる
エンジン車には必須でなく、コストは現行システムの数倍もかかる。それでも自動車メーカーが積極採用を始めたのが電動油圧ブレーキである。現状の搭載率は10%ほどだが、2030年には50%まで高まりそうだ。自動ブレーキ機能の強化や負圧不足の解消など、採用する利点は多い。
Part2 部品メーカーの開発競争
トヨタ自動車系のアドヴィックスが、ブレーキの方式を拡大させる。独自構造の電動油圧ブレーキに20年以上こだわってきたが、方針の転換を決めた。2020年代前半にも投入する次世代品は、ドイツのメガサプライヤーと同じ土俵で真っ向勝負する。ガソリン車への採用を目指し、各社は低コストで小型のブレーキの開発を急…