全2685文字
PR

小型車ボディー骨格におけるホットスタンプ(高張力鋼板の熱間プレス材)の牙城が崩れた。日産自動車は新型「ノートe-POWER」にホットスタンプと同強度の冷間プレス材を採用した。日本の鉄鋼メーカーは高強度で成形性の良い冷間プレス材の量産開発を加速する。小型車のボディーを舞台にホットスタンプと冷間プレス材の主導権争いが激しくなってきた。

 小型車のボディー骨格において、ホットスタンプ(高張力鋼板の熱間プレス材)の牙城が崩れた。現在、トヨタ自動車やホンダなどは、引っ張り強さが1.5GPa級のホットスタンプをボディー骨格に使用する。これに対して日産自動車は、2020年12月に発売した新型「ノートe-POWER」に、1.5GPa級の高張力鋼板の冷間プレス材を適用した(図1)。

図1 小型車「ノートe-POWER」
図1 小型車「ノートe-POWER」
日産車として初めて、1.5GPa級の冷間プレス材をボディー骨格に使った。(出所:日産自動車)
[画像のクリックで拡大表示]

 小型車のボディー骨格に適用する高張力鋼板の冷間プレス材ではこれまで、他社の車両を含めて1.3GPa級が最高強度だった。日産が1.5GPa級の冷間プレス材を使うのは、今回の新型車が日産車として初めてである。

 先進運転支援システム(ADAS)の標準搭載などが進み、小型車の質量は増える方向にある。車両質量の増加は燃費規制への対応を難しくすることに加えて、「低燃費」という小型車の商品力を低下させる。

 小型車の電動化が進んでも、車両は重くなる方向にある。例えば、電気自動車(EV)は航続距離を伸ばすため、重くて大きな電池パックを搭載する必要がある。全固体電池など小型・大容量電池の開発は進むが、それでも車両が重くなることに変わりはない。