全2395文字
PR

ドイツContinental(コンチネンタル)傘下で自動車セキュリティーを手掛けるのが、イスラエルArgus Cyber Security(アルガスサイバーセキュリティー)である。同社は軍出身の優秀なハッカーを生かし、車載ソリューションで実績を積んでいる。2021年以降に出荷される計6700万台の車両に同社の技術が搭載される見通しだ。

 ドイツContinental(コンチネンタル)傘下のイスラエルArgus Cyber Security(アルガスサイバーセキュリティー)は、車両に組み込むIDS(侵入検知システム)などの車載セキュリティー製品で高い実績を持つ。すでに10社の自動車メーカーまたは1次部品メーカー(ティア1)から、15件の量産プロジェクトを受注しており、「21年以降に出荷される計6700万台の車両に搭載される見通し」(アルガスサイバーセキュリティーの日本担当を務めるセールスダイレクターの吉田毅氏)である(図1注1)

図1 アルガス日本担当の吉田毅氏
図1 アルガス日本担当の吉田毅氏
アルガスの車載セキュリティー商品は21年以降に出荷される計6700万台の車両に搭載されるという。(出所:エレクトロビット/アルガス)
[画像のクリックで拡大表示]
注1)現在はアルガスサイバーセキュリティーの日本法人がないため、吉田氏はコンチネンタルの子会社、ドイツElektrobit(エレクトロビット)の日本法人に所属している。

 同社のホスト型IDS「Connected ECU Protection」は、サイバー攻撃の入り口となる車載情報システム(IVI)やTCU(テレマティクス制御ユニット)などを監視し、車外との安全な双方向通信を実現する(図2)。ホスト型IDSには、ADAS(先進運転支援システム)などの主要ECU(電子制御ユニット)に組み込む「Core ECU Protection」もある。ネットワーク型IDS「In Vehicle Network Protection」は、CAN(Controller Area Network)やイーサネットなどの車載ネットワークの通信状態を監視することで、攻撃を検知する。これら3つを組み合わせることで分散型のIDSに加え、多層防御システムも実現する。

図2 アルガスの車載セキュリティー製品
図2 アルガスの車載セキュリティー製品
IVIやTCUに組み込む「Connected ECU Protection」、ADASなどの主要ECUに搭載する「Core ECU Protection」に加え、ネットワーク型IDSの「In Vehicle Network Protection」がある。(出所:エレクトロビット/アルガス)
[画像のクリックで拡大表示]

 こうした車載セキュリティー製品は、親会社であるコンチネンタルの統合ECU「HPC(High-Performance Computer)」やTCUにプリインテグレートされていることが多い。このため、コンチネンタルのHPCやTCUが自動車メーカーに採用されると、アルガス製品の採用につながりやすい。ただ、アルガスはコンチネンタル以外のECUベンダーにも売り込んでおり、コンチネンタル色はあまり表に出していないようだ。ECUベンダーでは独自にIDS技術などを内製している場合も多いが、アルガスは専門性の高さを強みに協業の可能性を探っている。