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遠隔監視は行うが運転席は無人の無人運転MaaS(Mobility as a Service)。その社会実装が現実味を帯びてきた。日本では、そうした無人運転MaaSを見据えた移動サービスや実証実験が、様々な場所で展開されている。走行環境にもよるが、表向きはレベル2とされるものの中には、レベル4相当のものも出始めている。

 遠隔監視のみの無人運転化に向けて開発を加速させている日本のMaaS―。その実力は、どこまで進化してきているのか。Part2では、実際に提供・実施されている代表的なサービスや実証実験から現状を見ていく。

 まず注目したいのが、大都市/地方都市の一般道(公道)を対象とした移動サービスや実証実験である。代表例としては、日産自動車とNTTドコモが横浜市のみなとみらいおよび中華街エリアで共同で実施した実証実験、ホンダが宇都宮市と栃木県芳賀町で開始している実証実験、WILLERなどが名古屋市鶴舞エリアで実施した実証実験、ティアフォーや損害保険ジャパンなどが東京の西新宿エリアで実施予定の実証実験などが挙げられる。

 日産やホンダの上記の実証実験は法定速度での運行を想定したものである。一方、WILLERなどの同実証実験は最高速度19km/hと低速の運行を念頭に置いたものである。ティアフォーなどの同実証実験の最高速度は公表していない。

 一方、地方部の一般道(公道)を対象とした移動サービスや実証実験には、例えば、BOLDLYなどによる茨城県境町の移動サービスや、WILLERなどが京都府精華町の関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)で実施した実証実験などがある注1)

注1)けいはんな学研都市の公道における実証実験は、シンガポールのSingapore Technologies Engineering(STエンジニアリング)、けいはんな、ピノスとともに、京都府と精華町の協力の下、関西文化学術研究都市推進機構が推進する「けいはんな公道走行実証実験プラットフォーム(K-PEP)」を活用して実施した。

 茨城県境町の同移動サービスは最高速度20km/h未満、平均速度12~13km/h、けいはんな学研都市の同実証実験は15km/h以下と、いずれも低速走行を前提としている。

 非公道の閉鎖空間、あるいは公道でも廃線跡地やBRT(Bus Rapid Transit)専用区画といった限定空間を対象とする移動サービスや実証実験も展開されている。代表例は、トヨタ自動車が東京五輪・パラリンピックの選手村で提供したレベル4相当の移動サービス、BOLDLYなどによる東京・羽田の大規模複合施設「HANEDA INNOVATION CITY」における移動サービス、日本初のレベル3対応のMaaSである福井県永平寺町の移動サービスなどだ。

 最高速度は、選手村のものが19km/h、HANEDA INNOVATION CITYのものと永平寺町のものが12km/hとされている。

 以下に、代表的なサービスや実証実験について見ていく。