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米Tesla(テスラ)を筆頭に日本で新車をオンラインで販売する動きが活発になってきた。多くの系列販売店を抱える日本の既存自動車メーカーは、販売店との共存共栄を重視する。オンライン販売の比率が高まれば、自動車メーカーは販売店の役割を再定義する必要に迫られる。自動車メーカー各社は今後も、販売店をアフターサービスなど顧客接点の重要な拠点と位置付ける。

 日本において新車のオンライン販売で先行しているのは米Tesla(テスラ)である。クルマの購入希望者は同社のWebサイトにアクセスすれば、購入検討から支払いまでをオンラインで完結できる(図1)。

図1 テスラのオンライン販売サイト
図1 テスラのオンライン販売サイト
サイト内で購入の検討から契約、支払いまでを行える。(出所:テスラ)
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 国内にあるテスラの系列販売店は5カ所にとどまり、購入者が試乗などをするための拠点という位置付けである。顧客が購入した車両の納車は主に、同社が「デリバリーセンター」と呼ぶ拠点で行う。2021年11月に、国内初の納車拠点を東京都内に開設した。

 ただ、顧客は追加料金を払えば、購入した車両を自宅まで運んでもらえる。系列販売店が少ないテスラならではのコスト抑制を重視した販売形態といえる。

 約12年ぶりに日本市場に再参入する韓国Hyundai Motorも、自社の専用サイトや顧客のスマートフォンを使った新車のオンライン販売を22年5月に開始する注1)。テスラと同様、支払いまでをオンラインで完結できる。日本国内に販売店は持たない。購入後の点検などを行う最初のサービス拠点を22年夏に、横浜市内に設置する計画である。

注1)Hyundaiが日本市場に投入するのは電気自動車(EV)の「IONIQ5」と、燃料電池車(FCV)の「NEXO」である。両車のオンライン販売は22年5月に始まり、納車は同年7月以降になる予定だ。オンライン販売に合わせてシェアリングサービスと、サブスクリプション(月額課金)サービスも提供する。

 これに対して日本の既存自動車メーカーは、テスラやHyundaiとは異なり、全国に多くの系列販売店を抱える。自動車メーカー自身が新車のオンライン販売を本格的に展開すると、系列販売店の業務に大きな影響を与える可能性が大きい。さらにオンライン販売の比率が高まると、販売店は将来的に生き残れなくなる恐れがある。

 日本の既存自動車メーカーは当面、オンライン販売を行うにあたって、系列販売店との“共存共栄”を重視する。また中長期的にも、販売店をアフターサービスなどの顧客接点の重要な拠点と位置付けている。