電気自動車(EV)向け電池の開発競争で中国と韓国の電池メーカーが主役に立つなか、欧州勢や米国勢は既存の液系リチウムイオン電池の製造技術を革新し、巻き返しを図る。一方、電池メーカーの存在感が低下する日本勢は、自動車メーカー大手3社が全固体電池の自社開発を表明する。混沌とするEV電池開発の最前線を報告する。

特集
液系か、全固体か EV電池最前線
目次
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パナ離れトヨタ・テスラの真意
Part1 内製に走る自動車メーカー
自動車メーカーが、電気自動車(EV)向けリチウムイオン電池(LIB)の内製化にかじを切る。先頭を走る米Tesla(テスラ)をトヨタ自動車が追いかけ、電池メーカーに傾く力関係を引き戻す。
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ドライ電極、液系LIBの切り札へ
Part2 テスラやVWが液系に注力
全固体電池の早期量産を懸念する見方が強まる中、自動車メーカーが既存の液系リチウムイオン電池(LIB)の延命に力を注ぎ始めた。注目を集めるのが「ドライ電極」である。米Tesla(テスラ)に続き、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)が開発に乗り出す。
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全固体電池、30年以降か
Part3 ゲームチェンジならず
「ポスト液系リチウムイオン電池(LIB)」の有力候補が、正極と電解質、負極の全てを固体で構成する全固体電池である。世界中で開発競争が激しくなる中、開発のポイントはどこにあるのか。