電気自動車(EV)だけではカーボンニュートラル(炭素中立)を実現できない―。電動パワートレーンに対する風向きの変化を感じ取り、トヨタ自動車が市販化を宣言したのが水素エンジン車だ。孤軍奮闘にも見えるが、実は水素エンジンに本腰を入れるのはトヨタだけではない。EV一辺倒だった欧州勢も研究開発を急いでおり、“本音”が漏れ始めた。

特集
水素エンジンという選択肢
目次
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トヨタ先行、欧州勢も改心
Part1 EV一辺倒から水素エンジンへ
2022年6月、トヨタ自動車が水素エンジンを市販化する意向を明かした。電気自動車(EV)に傾注してきた欧州勢からは、“本音”が漏れ聞こえてくる。内燃機関を搭載する新車の販売禁止を検討してきたが、存続の可能性が出てきた。カーボンニュートラル実現に向けて、水素エンジン車が走り出す。
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異常燃焼抑え市販へ一歩前進
Part2 トヨタの水素エンジン車
レースを「実験場」と位置付け、水素エンジン車の改良を続けてきたトヨタ自動車。「プレイグ」と呼ばれる異常燃焼と向き合い、手応えをつかみつつあるようだ。エンジン技術に詳しいSOKENエグゼクティブフェローの古野志健男氏に、トヨタの水素エンジン車の進化をひもといてもらった。
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内燃機関技術の新たな出口に
Part3 部品メーカーも熱視線
トヨタ自動車が市販化の意向を明かした水素エンジン車。電気自動車(EV)一辺倒だった電動化の状況が変化しつつある中で、内燃機関に軸足を置いてきた部品メーカーが開発を加速させている。欧州や日本の拠点で動き出した水素エンジン開発の現場に迫った。