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SUBARU(スバル)が交通死亡事故数ゼロを目指し、「ぶつかっても安全なクルマ」の技術開発を加速させている。技術開発のポイントは、ボディー骨格を全方位(前面・側面・後面)の衝突に対応させることである。中型SUV(多目的スポーツ車)の「レガシィ アウトバック」には最新技術を結集させて衝突安全性能を高めた。同車は日本の自動車アセスメントプログラム(JNCAP)の最新の衝突安全性能試験で最高評価を受けた。

 SUBARU(スバル)の「レガシィ アウトバック」(以下、アウトバック)は、中型ステーションワゴン「レヴォーグ」と同じ同社の新プラットフォーム(PF)「SGP(Subaru Global Platform)」を適用する。同じPFを使いながら、レヴォーグのボディー骨格を改良し、全方位の衝突安全性能を高めた(図1)。

図1 スバルの新型「レガシィ アウトバック」
図1 スバルの新型「レガシィ アウトバック」
レヴォーグのボディー骨格を改良し、衝突安全性能を高めた。(画像:スバル)
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2030年に交通死亡事故ゼロ目指す

 スバルは2030年に、自社の車両が関与する交通死亡事故数をゼロにする目標を掲げる。その70~80%は、同社の先進運転支援システム(ADAS)「アイサイト」で防げるとみる。残りの20~30%の死亡事故数をできるだけ減らすには、衝突安全性能の強化が避けて通れないという。

 全方位の衝突安全に対応するためのスバルのボディー設計に対する基本的な考え方は、ボディー骨格を変形させる「クラッシュゾーン」と、変形させない「キャビン(乗員室)ゾーン」に分けて乗員を守るというものである。そのため乗員室ゾーンでは、引っ張り強さが980MPa級以上の超高張力鋼板の使用量を増やし、同鋼板を骨格の各部位に効果的に配置する。

 SGPの考え方に基づくボディー骨格の「マルチロードパス化」(衝突荷重の伝達経路を増やすこと)も、衝突安全性能の向上に寄与する。例えば前面衝突時には、車両前部のクラッシュゾーン(エンジン室の部分)において、複数のロードパスを介して衝撃エネルギーを効率的に吸収しながら車両後方に逃がし、乗員室の変形を防ぐ。