マツダ社長の丸本 明氏は2022年11月に開いた2030年に向けた経営方針の発表会で、「自動車技術で対策可能なものついては2040年をめどに、自社の新車が原因となる交通死亡事故をゼロにすることを目指す」と宣言した。そのカギを握るのが、衝突安全性能と予防安全性能の強化である。予防安全技術によって事故をできるだけ減らし、予防安全技術では防ぎきれない事故には衝突安全技術で対応する。同社の今後の成長をけん引すると期待されるのが、新プラットフォーム(PF)「ラージ」適用車だ。予防安全の面では、その第一弾となる新型「CX-60」に最新技術を結集させた。衝突安全の面では、主要骨格部品を内製化した。骨格部品の品質を高めながら製造コストを削減し、衝突安全性能を強化する。

特集
マツダ“事故ゼロ” に挑戦
目次
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縦置きエンジンの利点を生かす
Part1 ラージPFの高強度ボディー
マツダの新型「CX-60」は、同社の新プラットフォーム(PF)「ラージ」を初適用した。ラージPFの利点を生かしてボディー骨格の構造を改良し、全方位の衝突安全性能を強化した。同社は事故分析などの結果を基に車両全体の衝突安全性能を高める研究開発を加速させる。CX-60に適用した高強度ボディー骨格の開発…
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コストを抑えながら生産性5倍
Part2 新骨格部品を内製化
マツダはホットスタンプ材(高張力鋼板の熱間プレス材)製のボディー骨格部品を内製化した。骨格部品の品質を高めながら製造コストを削減し、生産性を上げるのが狙いである。新設備で作った骨格部品は「ラージ」プラットフォーム(PF)を適用した「CX-60」に初採用した。今後投入する他のラージPF適用車にも内製…
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事故リスクを低減する新機能
Part3 進化するADAS
マツダは交通死亡事故ゼロを目指し先進運転支援システム(ADAS)の性能向上を加速させている。中型SUV(多目的スポーツ車)の新型「CX-60」に最新の予防安全技術を結集させた。運転者の状態を検知して事故のリスクを低減するシステムなど3つの新機能を搭載。さらに自動緊急ブレーキや死角検知、誤発進抑制な…