クルマのボディー開発が新たな段階に入った。これまでは、特に強度が求められるボディー骨格部品に高張力鋼板のホットスタンプ材(熱間プレス材)を使ってきたが、これからは「脱炭素」を進めながら、衝突安全性能を維持・強化することが求められる。トヨタ自動車は新型「プリウス」から脱ホットスタンプに踏み切った。マツダはLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)の観点から脱炭素の効果を検証し、ホットスタンプ材と高張力鋼板の冷間プレス材を使い分ける。日産自動車は新型「セレナ」のボディー骨格に、素材の製造工程からの二酸化炭素(CO2)排出量を減らした「グリーン鋼材」を適用する。中長期的には素材は「グリーン鋼材」、成形法は「冷間プレス」の組み合わせが増えそうだ。

特集
脱炭素が変える自動車ボディー
目次
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脱炭素と衝突安全性能を両立へ
Part1 素材バトル再燃
脱炭素の観点からボディー骨格に使う高張力鋼板の主導権争いが再び激しくなってきた。衝突安全性能を維持・向上させながら、製造工程の脱炭素をいかに進めるかがポイントである。トヨタ自動車は新型「プリウス」のハイブリッド車(HEV)から「脱ホットスタンプ」に踏み切った。骨格部品に使う素材を造る際の脱炭素の観…
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4つの対策で乗り越える
Part2 1.5GPa級冷間プレス材の壁
マツダはボディー骨格の製造工程における脱炭素を進めながら高張力鋼板を適材適所で使う計画だ。ホットスタンプ材と冷間プレス材についてはコストの安い方を選ぶのが基本的な考え方である。ただ、高強度の冷間プレス材をボディー骨格に適用するには加工の難しさを克服する必要がある。同社は4つの対策でその壁を乗り越え…
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日産がグリーン鋼材を初適用
Part3 素材製造時のCO2を減らす
日産自動車は新型車のボディー骨格に低炭素鋼材(グリーン鋼材)を適用することを決めた。ボディー骨格に使用する鋼材の製造工程から二酸化炭素(CO2)の排出を減らすのが狙いだ。グリーン鋼材は中型ミニバンの新型「セレナ」から使用を始め、他の車種にも広げる計画である。新型セレナではグリーン鋼材を初適用しなが…