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最近の建て主は、引き渡し前の内装の傷に対して、非常に厳しい目を向けるようになった。傷はパテで直せばよい―。そんな安易な姿勢が建て主の不信感を募らせる。現場の養生や整理整頓を徹底し、傷を減らす努力を払うことが対策の王道だ。

 「検査時に内装の傷や凹みを発見すると、とてもがっかりされるお客様が多い」

 そう話すのは、不動産コンサルティングのさくら事務所(東京都渋谷区)で住宅診断を担当する田村啓氏だ。上の写真は、田村氏が新築住宅の住宅診断に当たった際に、発見した傷や凹みだ。建て主の依頼を受け、彼らの立ち会いの下で行った検査で見つかったものだ。クローゼットのドア枠に付いた傷や、システムキッチンの料理台に生じた凹みなど様々なパターンがある。

〔写真1〕建て主を失望させる引き渡し前の大きな傷
〔写真1〕建て主を失望させる引き渡し前の大きな傷
さくら事務所が新築住宅の引き渡し前の検査で発見したトラブル例。クローゼットのドア枠の傷(写真:さくら事務所)
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床養生シートを剥がした際、接着が甘かった幅木が外れたもの(写真:さくら事務所)
床養生シートを剥がした際、接着が甘かった幅木が外れたもの(写真:さくら事務所)
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システムキッチンの凹み傷(写真:さくら事務所)
システムキッチンの凹み傷(写真:さくら事務所)
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右下は洗濯水栓まわりのクロスの切れ目を処理し忘れたもの(写真:さくら事務所)
右下は洗濯水栓まわりのクロスの切れ目を処理し忘れたもの(写真:さくら事務所)
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 田村氏は「傷を見たお客様には、2種類の反応がある」と言う。1つは住宅会社に対して補修や交換を求めるために、交渉の進め方を相談してくるタイプ。もう1つは、内装の傷を躯体の欠陥と結び付けて過度な心配をするタイプ。例えば、クロスの傷を見ただけで躯体に欠陥があると考え、住宅会社の責任を追及しようとするタイプだ。どちらのケースでも、傷を発見した建て主の失望は大きいという。

 「傷の発生個数は住宅会社によってかなり差がある。品質管理に熱心な会社は少ないが、そうでない会社はなかなか減らない」(田村氏)

 傷を見つけたときの建て主の失望感は、住宅関連のQ&A形式のウェブサイトを見るとよく分かる〔図1〕。

〔図1〕「パテで肉盛りし、削り、磨く」にがっかり
〔図1〕「パテで肉盛りし、削り、磨く」にがっかり
Yahoo!JAPANが運営する住まいの相談サイト「教えて!住まいの先生」(https://realestate.yahoo.co.jp/knowledge/chiebukuro/)に寄せられた建て主の体験例
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 例えば、床や棚に傷を付けられた建て主は「『傷はパテで肉盛りして削り、磨きます』と言われました。これから頑張ってローンを支払う身としては、かなりがっかりしました」と訴えている。外壁や窓サッシに傷を付けられ、交換を要求すべきか悩んでいる建て主もいる〔図2〕。

〔図2〕交換を求めるべきか相談する書き込みも
〔図2〕交換を求めるべきか相談する書き込みも
図1と同じサイトに寄せられた別の建て主の体験例。傷を付けられた建材・設備の補修や交換の交渉を、どう進めればよいか相談する建て主が多い
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 こうしたクレームに共通するのは、「傷が出てもパテで直すから大丈夫」という姿勢を見せる住宅会社への不信感だ。住宅会社の現場監督の間では「少々の傷が出るのは仕方ない」という感覚が根強く残っているが、今の建て主に通用しなくなりつつある。

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