担い手不足と受注競争激化が同時並行で進むなか、家づくりの現場では省力化ニーズがかつてないほど高まっている。注目されている取り組みの1つが、大型パネル工法だ。パネルがどのようにつくられているのか、ユーザーの声とともに紹介する。
大型パネルとは、柱や梁などの材を組み合わせたフレームに構造用面材や窓台などの羽柄(はがら)材を取り付け、さらに透湿防水シートや断熱材、サッシに至るまで、工場で一体製作したパネルだ〔写真1〕。内外装を除いた躯体そのものであり、住宅建設の現場ではこれらを建て込むだけ。一般的な規模の戸建て住宅なら、建て方からサッシ取り付け、外壁や屋根の防水施工までが1日で完了する。大工手間や施工管理の負担を軽減するほか、工期短縮にも直結するため、近年、住宅業界で注目を集めている。
実際に、大型パネルは工場でどのようにつくられているのか──。大型パネルの受託製作を手掛けるウッドステーション(千葉市)の生産ラインを見に行った。
同社が大型パネルを製作しているのは、群馬県沼田市にあるテクノエフアンドシーの沼田工場だ。テクノエフアンドシーはミサワホームのグループ会社で、主にミサワホーム向けの接着パネルや住宅部品などの生産を手掛けている。この工場の一角に、ウッドステーションの大型パネルを製作する専用ラインがある。
パネル製作ではまず、発注者である住宅会社や工務店がウッドステーションとやり取りして、パネル化する躯体を構成する部材の寸法と配置を確定し、部材を調達する。柱や梁などの製材はプレカット会社が工場に納入。サッシや断熱材といった建材は、発注者が支給する場合とウッドステーションが調達する場合とがあり、発注者が調達価格などを比較して判断しているという。
パネルを構成する材料がそろったら製作開始。柱・梁の組み立て、防水紙や断熱材の施工、サッシの取り付けといった作業手順は、建設現場と全く同じで、ほとんどを人力で手掛ける点も変わりはない。だが建設現場と決定的に違う点もある。まず圧倒的な作業性の良さだ。
パネルの製作過程では、例えば壁パネルなら構造材の組み立てから透湿防水シートや胴縁の施工までをフラットな作業台で行う〔写真2〕。それ以降は製作中のパネルを機械で垂直に立て起こしたうえで、隣接する昇降足場付きの架台に移動〔写真3〕。作業者は自ら作業しやすい高さに足場を上下させてサッシを取り付け、サッシまわりの防水施工や通気胴縁施工といった作業を実施する〔写真4、5〕。