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 次に、ウッドステーションの大型パネルで、住宅会社や工務店がまとめる設計図書を工場製作のための「施工図」(パネル製作用図面)に落とし込むプロセスを見てみよう。

 施工図〔写真1〕の作製は、実施設計の確定段階からスタートする。発注者(住宅会社や工務店など)の設計担当者と、ウッドステーションの担当者が、まずは意匠図をベースに打ち合わせを実施。ウッドステーションの担当者は、いわば協力会社の現場監督に相当し、施工図作製から現場での建て方まで工程を管理する役割を担うキーパーソンだ。

〔写真1〕大型パネルの設計図「施工図」
〔写真1〕大型パネルの設計図「施工図」
大型パネルの「施工図」。工場製作時に担当する作業者は、この図面に基づいて部材の組み上げや取り付けを実施する(写真:大菅 力)
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 両者の打ち合わせで躯体の設計内容を細部まで確定後、発注者が構造材や羽柄材をプレカット会社に発注する。屋根まで大型パネル化するなら、「垂木欠き」などの取り合い寸法もあらかじめ決めておく必要があり、ウッドステーションが発注者との打ち合わせを踏まえて詳細図を作製する場合もある。

変換で唯一の抜け穴「DXF形式」

 プレカット会社がそうした細かい加工に対応できない場合は、ウッドステーション側が加工も手掛ける。プレカット会社はオーダーに基づき、構造材の仕様や配置、仕口や継ぎ手の寸法などをまとめたプレカット図を作製。ここまでは一般的な在来工法と同じだが、プレカット図をDXF形式(中間ファイルとしてCADで使われることが多い拡張子形式)でウッドステーションに提供するところから、独自のプロセスになる。

 ウッドステーションは、DXF形式のプレカット図データをJWW形式(「JW-CAD」の形式)に変換。そのうえで自社開発の施工図作製用ソフト「WSパネル」で読み込む〔図1〕。

〔図1〕部材間のクリアランスなど“決まりごと”は自動入力で
壁の例で、プレカット図のデータを読み込むと部材寸法やクリアランスなども自動入力される(資料:ウッドステーション)
壁の例で、プレカット図のデータを読み込むと部材寸法やクリアランスなども自動入力される(資料:ウッドステーション)
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屋根の例で、軒先や片流れの棟を「タツ」「カネ」いずれで納まるかなど、パネル製作に必要な細部の情報も入力できる(資料:ウッドステーション)
屋根の例で、軒先や片流れの棟を「タツ」「カネ」いずれで納まるかなど、パネル製作に必要な細部の情報も入力できる(資料:ウッドステーション)
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大型パネルの施工図を作成するウッドステーションの独自ソフト「WSパネル」のマスター画面

 WSパネルは、プレカット図の2次元データに部材の断面寸法など3次元情報を自動的に付与する。木造在来工法は躯体のモジュールが慣習的に整理されているので、外周壁なら壁厚(柱の寸法)が決まれば壁内の他の部材の断面寸法なども決まる。WSパネルはプレカット図の情報と木造在来工法の決まりごとをベースに、DXF形式の2次元データからオブジェクトごとに認識し、3次元情報を持ったデータに自動変換する。

 国内でプレカットCADのソフトメーカーは主に3社あり、メーカーが違えばデータの互換性は全くない。だが、いずれもDXF形式でデータを書き出せるという唯一の共通性がある。「WSパネルの手法は遠回りのように見えるが、プレカットCADデータの非互換性に対する唯一の“抜け穴”を突いた方法だ」とウッドステーションの塩地博文社長は話す。