「安心」「きれい」「分かりやすい」を掲げる国土交通省の中古住宅ブランド「安心R(アール)住宅」が岐路に立っている。緩和的な制度内容に悪用を懸念する声が上がる一方、肝心の普及が進まない。国土交通省は難しいかじ取りを迫られている。
「消費者の『優良誤認』を招きかねない。今、住宅関連で最も心配している制度だ」
そう語るのは神崎哲弁護士(神崎法律事務所)。所属する京都弁護士会が2019年3月6日、「安心R住宅」制度の抜本的な改善を求める意見書を国土交通大臣へ提出した。神崎弁護士は意見書取りまとめの中心人物だ〔写真1、2〕。
京都弁護士会が問題視したこの制度は、中古住宅流通の活性化策として、国土交通省が18年度から始めたもの。一定の要件を満たした中古住宅に「安心R住宅」というマークの表示を認め、市場に流通する中古住宅の品質向上を促す狙いだ。