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日本人が率いる米国のベンチャー「HOMMA」は、電気自動車で有名な米テスラを手本に、現地の住宅市場に挑む。機器とソフトウエア更新で“進化”し続けるIoT住宅(スマートホーム)を展開。そのコンセプトやアイデア、開発手法からは学べることも多い。

 米国シリコンバレーの中心部から北西に車で1時間強。サンフランシスコ市から湾に架かる橋を渡って30分ほどのところに、2020年6月、IoT技術を駆使したコンセプト住宅「HOMMA ONE」が完成した〔写真1〕。ツーバイフォー工法の木造2階建て。広さは4000平方フィート(約370m2)で4つのベッドルームを備える。戸建てが比較的広い米国の中でも、大きな住宅に相当する。

〔写真1〕機能を更新し続けるIoT住宅の「HOMMA ONE」
〔写真1〕機能を更新し続けるIoT住宅の「HOMMA ONE」
2020年6月に完成したIoT住宅の「HOMMA ONE」。代表の本間毅氏はシリコンバレーの電気自動車(EV)大手の米テスラを手本にしている。テスラのEVは毎月のようにEVのソフトウエアを更新し、高度な自動運転機能やエンターテインメント機能を追加する。その仕組みを住宅にも当てはめるのが狙いだ(写真:HOMMA)
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 建設したのは住宅関連のスタートアップ企業、HOMMA。ソニーで新規事業を手掛け、楽天の日米法人幹部を務めた本間毅氏が16年に起業した。18年4月から設計を始め、19年3月に基礎工事に着手。新型コロナ禍のさなかに完成した。「コロナ禍が発生する前から在宅勤務がさらに進むと考えていた。家族が過ごす時間がこれまで以上に増えると考えて設計し形にしてきた」(本間氏)

次世代の在宅スタイルを先取り

 HOMMAは18年に既存住宅をオフィスとして改装し、IoT機能を実装した住宅商品「HOMMA ZERO」を第1段階として完成。そして今回、第2段階として新築ベースの「HOMMA ONE」を完成させた。

 HOMMA ONEは1階が寝室や子供のプレールーム、2階全体がリビングダイニングになっている〔写真2〕。1階と2階の間には、購入した食材や飲料を運べるミニエレベーターを備えた。リビングダイニングの一角にはパソコンなどで作業ができるワークスペースを用意している〔写真3〕。ここから家族がリビングでだんらんしている様子を見たり、1階の子供のプレールームを確認したりできる。

〔写真2〕無駄な空間は極力減らす
〔写真2〕無駄な空間は極力減らす
1階が寝室や子供のプレールーム、2階全体がリビングダイニングという構成。HOMMA ONEでは動線が極力短くなるように配慮し、単なる廊下といった無駄な空間を極力減らした(写真:HOMMA)
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〔写真3〕仕事場スペースはオープン空間
〔写真3〕仕事場スペースはオープン空間
2階の階段上に設けた仕事スペースからの眺め。壁が低くオープン空間になっていることから、リビングやキッチンだけでなく1階の子供用のプレールームを確認できる。階段の奥に見えているのが1階のプレールーム(写真:HOMMA)
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 テレワークや遠隔授業が一般化するこれからの生活において、インターネットは必須だ。こうした背景からビジネス用途の無線LANを採用し、屋内に複数の中継アンテナを配置。ネット利用の死角をなくした〔写真4〕。ビデオ会議サービスの利用増も見据え、今後は有線LANを配置することも検討するという。「長時間、住宅内で家族が一緒に生活することになった。今後その傾向は強まるが、気分転換も必要だ。住宅内もフリーアドレスで、どこでも仕事や勉強ができるような環境を提供していきたい」(本間氏)

〔写真4〕住宅内のあらゆる場所を仕事場として想定
〔写真4〕住宅内のあらゆる場所を仕事場として想定
バルコニーの様子。家庭内のあらゆる場所が仕事場となることを想定している。ビジネス用途の無線LANを採用し、屋内に複数の中継アンテナを配置。ネット利用の死角をなくした(写真:シリコンバレー支局)
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